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開発事例

帽子外側のリボンで
インカムイヤホンを固定。
着脱時のストレスを軽減し
作業性も大きく改善!

■クライアント:食品工場(コンビニ弁当)

■サンロード担当:水本

クライアントはどのような悩みをお持ちでしたか。

クライアントの工場では、従業員同士がインカムでやり取り・伝達を行っています。以前はインカムのイヤホンを帽子の中で耳に直接付けていたのですが、インカムの着脱時には帽子も取らねばならないので、現場の皆様は煩わしさを感じていました。
また、着脱時に毛髪が隙間からはみ出るリスクもあります。帽子の中にイヤホンを通して自分の耳に付けるのですが、そこに必ずコードを通す隙間ができますので、そこから毛髪などが落下する危険があるのです。

こうした問題を解消するために「インカムのイヤホンを帽子の外側に固定できないか」というご要望を頂きました。ただマジックテープは使ってほしくない、と。テープに付いた塵やホコリが異物となるリスクと、生地を傷める可能性があるので、マジックテープを使わない形で固定できるように、とのことでした。

難しそうなリクエストですね。どのような提案を?

衛生帽子の左側に、イヤホンを固定するためのリボンを取り付けました。
この形に至るまではかなり考えました。今流行りのボタンホックも試してみましたが、まず値段がちょっと高くなるのと、イヤホンを固定する位置が限られてくるし、フックが目に見えにくくて付けづらい。だから、簡単に差し込んで入れられるようにしようというのでこの形になりました。

リボンは4つ付けました。2つで十分という声もあったんですけど、耳の高さは人によって違いますから、耳の高さによって付ける位置を変えられるようにして、各々の聞こえやすい位置に決めてもらえるようにしました。
他には、あの形状でもう少し太いリボンを一個だけ留めるとかも考えたんですけど、動いているとイヤホンが落ちてきたりズレてきたりする問題がありまして。そうした点も考えながら、パーツのコスト面も踏まえて、このリボン4つの形が一番ベストかなという結論になりました。
あとは取り付ける時に鏡を見て差し込む位置が分かりやすいように、あえて白ではなく青色のリボンを採用しました。

イヤホン取付部

「リボンを付ける」というところまでいっても、その数や太さや位置を決めるのがまた難しいんですね。テストや試作はどのくらいされましたか?

テストも何回も行いました。お客様の方で、実際にインカムを付けていただいて音声のやり取りができるかとか、実際の作業で動いてみてズレてこないかどうか、といった部分をテストしました。今までは耳に直接付けていたを外に付けて帽子を隔てるるわけですから。
でも元々ちょっと音量が大きかったみたいで、聞きやすさとかその辺の不自由は特に感じかったみたいです。

サンプル品は、最初に問い合わせを頂いた時に2点お作りしました。それが「ちょっと付けづらい」と返答があって「もう一度、何か違う方法で検討を」というので、その後ホックやリボンの付け方、数を変えたサンプルを三つご提供しました。それで最終的にこの形で決まりました。

お客様の反応は。

今までは帽子を着用してからわざわざ耳の中にインカムのイヤホンを入れるというのがすごく面倒くさかったし、付ける時に毛髪が出てくるので付けづらいという問題がありました。それがなくなったのが一番良かったとおっしゃっていました。
あと、トイレとかちょっと違う場所に行く時に、今までは一旦帽子を脱がないといけなかったのが、その必要がなくなって楽になったということです。

商品開発を通して一番苦労されたことは。

最初はそれこそ簡単に「固定できたらいい」と思っていました。作業中にインカムが落ちたりすると異物混入事故につながるので、まず落ちないことを前提に、きちんと強く留められるものを考えていたんです。

しかし先ほども申したように、耳の位置も頭の大きさも人それぞれ違うのでインカムが聞こえやすい位置も違います。一点固定留めだと耳の位置に調整ができないので、その人その人に合わせて位置を調整できるようにするにはどうすればいいかというのを、ものすごく悩みました。「どうしようかな、どうしようかな、なんか良い方法がないかな」と。そこが大変でしたね。

そこでちょっと発想を変えて、人に合わせて「インカムの位置をずらせる」にはどうしたらいいのかとなって、このリボンを4つ付ける形ができました。これは当社のデザイン設計担当から出たアイデアですが、この発想はなかなか出ませんでした。お客様に持って行くと「こんな風にできるんだ!」とえらく感動してもらったのを覚えています。