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虫をよける日向みち子異物混入ラボでは、食品工場や薬品工場、給食センターなどで発生するさまざまな異物混入の問題に取り組んでいます。中でも、虫の混入対策については力を入れていて、「観測レポート」でも虫の生態を定期的に追いかけています。(ぜひ見てくださいね♪)

虫の侵入を食い止めるには、まず虫のことをよく知らなきゃ!
「敵を知り、己を知れば、百戦あやうからず」という言葉の通りです。
そこで異物混入ラボでは、この「虫」について詳しく解説していきたいと思います。

異物混入の対策は原因把握から

異物混入対策といってもその原因は色々ですが、一般的に異物はその由来や性質などから、大きく次の3つに分類されています。
異物混入に限らず、どんなトラブルでもその解決・対策を行うためには、原因を正しく知ることから始まります。特に異物混入については、何をもって「異物」とするのかの解釈が業種業態によって違っていたりするので、まずは基本を押さえておきましょう。

動物性異物
人や虫、その他の動物が由来となる異物です。
人由来のものは、毛髪や爪、皮膚、血液、歯など。また虫やネズミ、鳥類などの体や排泄物なども該当します。
異物混入トラブルの原因としては3つの中で最も多く、様々な対策が必要となります。

植物性異物
植物片や種子、木片、花粉など植物由来の異物です。
カビや細菌などの微生物、紙類、ゴム片などもこの植物性異物に該当します。
3つの中でも食品の異物混入の原因となるケースは比較的少ないものです。

鉱物性異物
石や砂、金属、ガラスなどが由来となる異物です。
その他、樹脂やプラスチック、貝殻片もこの異物に該当します。
異物混入の原因となることが比較的多い上、もし食品への異物混入となれば「口に入れてケガをした」などの健康被害につながる可能性も高いものです。

※詳しくはこちらをご覧ください。

異物混入対策とは?食品工場や製造現場での防止方法を徹底解説!

ベスト2は「毛髪・虫」

上にあげた様々な異物の中でも、異物混入の原因として最も多くあげられているのは、関連の報告書等によれば「毛髪」とされています。
食品工場など人の出入りが多い製造現場では、従業員の頭や体に付着する形で持ち込まれた髪の毛や、工場内の機械や設備の隙間に入った毛髪が、何かの拍子に空中に舞い上がって製品に混入してしまうのです。
また、毛髪の次に異物混入の原因となりやすいのが「虫」です。どれほど注意して対策をしていても、建物の小さな隙間から入る虫を防ぐのは至難のわざ。髪の毛のように作業者がローラーで取り除く、衛生帽子の着用やエアシャワーといった対策もあまり意味がありません。
他にも、製造する物や取り扱う原料によっては、金属片や繊維、植物片、ゴム、プラスチック、ボールペンの破片など、実に多くの異物混入事例が確認されています。

原因や状況に合わせた対策を

どのような原因であっても、異物混入が発見されれば、消費者からのクレームは避けられません。クレームを受ける前と後では、消費者にとっての企業の信頼度は天地ほど異なります。そして食品関係の企業なら、食品衛生の管理体制も問われるでしょうし、日頃の異物の検査体制も問題視されるでしょう。早急に適切な異物混入対策が必要なのは言うまでもありません。
※異物混入のクレームについて詳しくはこちらをご覧ください。

間違うと命取りに!異物混入のクレームにはどう対応すべき?

また、同じような異物でも、混入した異物の種類やシーンによって、異物混入トラブルの深刻度は大きく違うことがあります。
例えば、同じ髪の毛の異物混入でも、それが衣類の中に入った場合と、食品や学校の給食に入った場合とでは、問題の大きさが全く違いますよね?また、人の毛髪と獣の体毛も、異物としてはよく似ていますが、異物混入が発生した時に衛生管理の面がより心配になるのは後者ではないでしょうか。

いずれにせよ、異物混入を防止するためには、その異物の種類や内容に適した対策が必要です。
原因について詳しく理解しているほど、それが実際になぜ混入したのかも分かり、混入防止のための対策もより安全確実に行えます。

毛髪混入については、本コラムの別記事でかなり詳しく取り上げてきましたので、ここでは、髪の毛と並んで代表的な異物の一つである虫について、基本的な知識から掘り下げています。虫の混入トラブルやクレームでお困りの方は、ぜひチェックしてみてください。
※毛髪混入について詳しくはこちらをご覧ください。

衛生キャップを選ぶ決め手は何?毛髪落下を防ぐためのポイントを解説

毛髪混入をなくすために要チェック!衛生キャップの正しいかぶり方を徹底解説

異物になりやすい虫とは

異物混入の原因として多くの実例がある虫ですが、皆さんは「虫」といわれて、まずどんな生き物を想像しますか?
「そんなの想像もしたくない!キモいっ!」…ま、まあそう言わずに。

ちょっと考えてみるだけでも、カブトムシやクワガタ、バッタ、セミ、テントウムシ、トンボ、ハエやカ、ダンゴムシなど、たくさん出てきます。一方その大部分は、食品工場などでの異物混入対策ではほとんど問題にされないものです。

いろいろな種類の虫実はこの地球は、「虫の国」と言っても過言ではないほど多くの種類の虫が生息しています。
現在分かっているだけでも、世界から約100万種、日本から約3万種の虫の存在が記録されているそう。何しろ、地球上にいる動物のほぼ7割は虫だというのですから、その数の多さがうかがえますよね。

そして私たちが普段「虫」と呼んでいるものは、「昆虫」と、昆虫以外の虫に分かれます。
昆虫は、次にあげる3つの特徴を持っています。

①6本の脚を持つ
②体が頭部・胸部・腹部の3つに分かれている
③成虫には普通4枚の翅(はね)がある

つまり、脚が6本でないクモやムカデ、ダンゴムシなどは、昆虫ではなく「節足動物」の中の一種になります。そして昆虫も、「昆虫類」という節足動物の仲間です。あぁ、ややこしい…。

異物混入の現場によくいる虫

さて、昆虫の中には、さらに約30種類の「目(もく)」という分類があります。
これを全部紹介していると「昆虫ラボ」になってしまいますので(笑)私たち異物混入ラボが特にターゲットとしている、異物混入の現場でよく見られる種類に限定して一覧にしました。

ハエ目

ハエ目の昆虫世界中で約9万種存在する、非常に種類の多いグループのひとつです。
普通の昆虫は翅(はね)が4枚あるのに対して、ハエ目の昆虫は、見た目には2枚しかありません。これは、後ろの2枚が退化して別の器官に変わっているためです。
(ハエ目の主な昆虫)ハエ、カ、アブ、ガガンボなど

カメムシ目

カメムシ目の昆虫日本国内では3千種類ほどが知られています。口がストロー状になっているのが特徴で、この口で植物の汁や体液を吸います。
草食もいれば肉食もいる、陸生もいれば水生もいる、その形態や生態は非常にバラエティに富んでいます。
(カメムシ目の主な昆虫)カメムシ、セミ、アメンボ、アブラムシなど

甲虫目

甲虫目の昆虫世界中で約30万種存在する、昆虫類で最大のグループです。日本でも8千種類以上が確認されています。形態も様々で、大きさは0.3mmに満たないものから10cmを超えるものまで様々。
革質化した堅い前翅が特徴で、これが鞘(さや)のように背面を覆っています。
(甲虫目の主な昆虫)コガネムシ、カブトムシ、カミキリムシ、ホタル、テントウムシなど

チョウ目

チョウ目の昆虫世界には約5千種ほどが知られています。このグループの大きな特徴は、毛が変化した鱗粉(りんぷん)を持っているという点です。鮮やかな彩りを見せてくれるとともに、水をはじいて保護します。
(チョウ目の主な昆虫)チョウ、ガなど

異物混入対策はハエの仲間に気をつけろ!

異物混入されやすい昆虫のグループをいくつかご紹介しましたが、これらの中から今回は、「観測レポート」でもよく発見されているハエ目の虫について、スポットを当ててみたいと思います。

『日本昆虫目録』によると、日本国内には14,500~22,300種のハエ目がいるとされています。
でも一方で、そのうち半分以上は未解明のものなんだとか。虫の世界は、まだまだ謎が多いようです。

ハエの体のつくり(イメージ)この種類の特徴は、上にも書きましたが、本来昆虫には4枚あるはずの翅(はね)が、2枚しかないこと。これは、後ろの2枚が、進化の過程で平均棍(へいきんこん)という器官に変化したためです。平均棍はマッチ棒のような小さな構造をしており、虫が飛ぶ時に体のバランスを取るために使われます。

ハエ目の虫たちは、伝染病を媒介したり、農作物や花を食べたり、不衛生だったりで、ほとんどの場合「害虫」として扱われています。正直、イメージ良くないですよね…。
それだけに、こうした虫が製品に混入してしまっては一大事。なんとしても、工場内には侵入させないよう対策を講じなければなりません。

ハエ目の昆虫の中から、特に異物混入の原因となったケースが多くみられる3種類をご紹介いたします。ご家庭のゴミ置き場などで見かけることも多いのではないでしょうか?それぞれの特徴をよく知って、対策をとるためのご参考になさってください。

ユスリカ

日本に約500種いると言われています。名前の由来は、幼虫が水底でユラユラと体をゆすっている様子からだとか。見た目はカ(蚊)と似ていますが、血は吸いません。成虫の体長は0.5㎜~10㎜程度です。

水たまりや側溝から河川まで、あらゆる水域から発生します。また照明光などに強く誘引される上に飛翔力が弱いので、気流に乗って施設内に侵入し、製品に入り込んでしまいます。食品や包装資材、紙などの表面に圧着することが非常に多いです。

タマバエ

玉のような虫こぶ(植物に虫が寄生してできるこぶ状の突起)を作るハエ、というのが名前の由来だそうです。そのため農業害虫としてもよく知られています。

異物混入問題が起きやすいのは、食菌性(腐敗した植物類を食べる種)のタマバエがほとんどで、これは田畑や雑木林などが発生源となります。
ユスリカと同様、光に強く誘引される上に飛翔力が弱く、施設内に侵入してしまうことの非常に多い虫です。また屋内に古い木材などがあると産卵される恐れもあります。体長は成虫で1~3mm程度と小型です。

クロバネキノコバエ

成虫の体長は多くの場合1~4㎜で、体全体が黒褐色をしています。
このハエも光に向かって飛ぶ性質が強く、工場内に侵入して異物混入事故を引き起こします。
幼虫は湿った場所で様々な有機物を餌とするため、工場敷地内の緑地帯や花壇、落ち葉、側溝の汚泥などが発生源となるケースも少なくありません。また梅雨の時期や秋に林縁部などで大量発生することがあります。

虫の侵入に効果的な対策とは?

虫の侵入対策に悩む工場工場や製品への混入異物となるいろいろな虫の中でも、上にあげたようなハエ目の虫たちは特に問題になりやすいものです。
では、どのような対策を取れば良いのでしょうか?

例えば、発生源となるような落ち葉や枯草を敷地内に放置した状態を避けるというのは有効な対策の一つだと思います。しかし先にご説明したように、これらの虫の発生源は非常に幅広く、どこからやってくるか分かりません。すべての発生源を抑えるのは現実的に無理でしょう。

そこで、食品工場や施設側での侵入防止対策を行うことになります。
これにもまた色々な方法がありまして、一つ一つを取り上げるのはまたの機会にさせていただきますね。
ここでは、虫の侵入防止対策に大きく2つの方針があることを知っておいてください。

①物理的に遮断する

一つは、物理的に建物内への虫の侵入をシャットアウトする方法です。
例えば次のような対策があげられます。

  • 建物の窓や出入口に、網戸やフィルターを設置して虫が入ってこられないようにする
  • 通常の扉以外に、虫を防ぐ扉や遮断装置を設置する(二重扉、エアカーテン、シートシャッターなど)
  • 壁やシャッターに虫が侵入できる隙間がないか確認し、あれば対策を行う(防虫ブラシなど)
  • 出入口に前室を設置する(扉の開放時に、外気が直接屋内に入るのを防ぐ対策になる)
  • 建物内の従業員などへの対策として、出入口を開放しないルールを徹底させる

②虫の誘因を防ぐ

もう一つは、虫が誘因される様々な要素をコントロールすることで、そもそも虫が施設に近づかない(近づきにくい)ようにする方法です。
例えば次のような対策があげられます。

  1. 光源管理
    光源管理による対策には、虫が好む光でおびき寄せて捕虫・殺虫する方法(電気捕虫器の設置など)と、逆に虫が寄り付きにくい光で飛来を抑える方法(紫外線カットなど)の2つがあります。どちらも虫の侵入対策には効果的です。
  2. 臭気管理
    生ごみや排水ピットなどから発生する臭気には虫が誘引されます。対策としては、臭気が発生する箇所の清掃・洗浄の徹底や、生ごみの保管は必ず蓋の付いた容器に密閉保管するなどがあります。
  3. 温度管理
    気温が下がる冬季には、多くの虫が寒さを避けるため、暖気の出る排気口や温水が流れる排水溝などに誘引されます。対策としては、排気口の出口に防虫ネットを張るなどの方法があります。

どちらも大切な取り組みですが、後者はどちらかといえば間接的な対策と言えそうです。直接的に効果があるのは、やはり前者の「物理的な遮断」ということになります。

虫の侵入をネットで防いで異物混入を解消!

物理的な侵入防止対策として最もおなじみなのは、窓に網戸を付ける方法です。
しかし一般的な網戸は、網目の細かさが24メッシュ(0.84mm)~30メッシュ(0.67mm)程度になっています。これでも大体の虫は防げますが、微小なユスリカなどは網戸の隙間を抜けて屋内に侵入してしまいます。

そこでおすすめしたいのが、当社が制作・販売している「とおさないフィルター」「窓換気ネット」です。

窓換気ネット「とおさないフィルター」は、外付けタイプの防虫フィルター。標準タイプが0.3×0.5mm前後(70~80メッシュ相当)、目の細かいタイプが0.15×0.4mm前後(90~100メッシュ相当)と、フィルターの目がとても細かいのが特徴で、通気性を維持しながら、小さな虫の侵入をしっかりガードしてくれます。
取付はマジックテープだから簡単・短時間で設置可能。室内側から付け外しできるのも便利です。10㎜単位で様々な形にオーダーメイドできますので、窓枠や空調ダクト、給・排気口などの様々な箇所に設置ができます。もちろん安心の日本製。
皆さんの食品工場などで思い当たる場所がありましたら、ぜひ取り付けをご検討ください。

「窓換気ネット」は、窓への取り付け用に特化したもので、こちらも80メッシュ相当の網目で小さな虫を通しません。窓をすっぽり覆い標準タイプと、開口部だけを覆えるスリムタイプの2種類があります。

取り付けの手順など、詳しくはサンロードの公式サイトをご覧ください!

まとめ

笑顔の日向みち子いかがでしたか?
一口に虫といっても数えきれないほどの種類があり、その中でも特にマークしておくべき虫のことを知っていただけたかと思います。
さらに虫の侵入を防止する対策として、大きくは「物理的に防止する」方法と「集まってくるのを防止する」方法の2つがあります。
食品工場などで働く皆さんがこれを意識しておくだけでも、トラブル防止につながるのではないでしょうか。

今回は具体的な対策の仕方についてはほとんど触れられませんでしたが、これから機会をみて少しずつご紹介できたらと思います!

おまけ:あっちいって!蚊を寄せ付けない3つの方法

蚊のアップ写真今さらですが、蚊って、ほんっっっっっっっと、イヤですよね?
さされてカユいのも嫌だし、さされなくても、耳のそばでプ~ンとやられるのも不快です。

そこで今回は、お部屋やアウトドアで、さされないためにできる対策を3つご紹介します。ぜひやってみてくださいね。

◆ビールやお酒を控える
蚊は、汗(に含まれる乳酸)や二酸化炭素、体温の上昇を敏感に察知します。
飲酒は、この3つ全部を高めてしまう危険行為ですので控えましょう。
お酒に酔って蚊が寄ってきた、ではシャレにもなりません。

◆白や黄色の服を着る
蚊は、白と黒の2色しか色を感知できず、また黒に近い色を好むといわれています。
「アタシ、黒が似合う大人の女なの」という人も、野山に出る時はおとなしく白や黄色の服を着ましょう。
肌を露出しない長袖・長ズボンだとなお良し。

◆アロマをたく
柑橘系・ハーブ系のアロマや芳香剤は虫を避けるのに効果的ですので、蚊取り線香がわりに使ってみてください。
女子力もアップで一石二鳥です♪(男子も可)

1匹たりとも入れない!
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