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虫食品工場や倉庫などで発生する異物混入トラブルの原因は様々ですが、中でも問題となりやすいものの一つに「虫」があります。小さいのでわずかの隙間からも室内に侵入してきますし、空気中を飛び回るので対策に手を焼いている企業様も少なくないと思います。
そもそも虫は、一体どこからやってくるのでしょうか?発生源を突き止めてこそ的確な対策も行えるというものです。今回は工場や倉庫における虫の侵入経路や発生源、侵入を防ぐのに効果的な方法についてご説明します。

異物混入の原因として最も多いのは「虫」

異物混入対策に最もシビアに取り組んでいるのは何と言っても食品工場でしょう。実際、世間で異物混入が話題になる時はほとんどの場合は食品への混入です。そこで、まずは食品への異物混入に虫がどの程度関わっているかをデータで見てみたいと思います。

以下は、全国150自治体の平成28年~令和元年度における食品への異物混入に関する苦情事例をもとに、混入異物の内訳を集計したものです。

異物混入の内訳

これを見ると、混入異物としては「虫」が最も多く、全体の23.9%を占めています。次いで「動物性異物」(17.1%)、「合成樹脂類」(17.5%)、「鉱物性異物」(15.8%)などがあります。なお毛髪は「動物性異物」、金属は「鉱物性異物」に該当します。
このデータからしても、虫は非常に多くの異物混入事例の原因となっているのが分かりますね。

出典:全国における食品への異物混入被害実態の把握(厚生労働科学研究成果データベース)

虫の混入によるトラブル

衛生管理が求められる製造現場においては、原因が何であれ異物混入は優先して対策すべき問題でありますが、とりわけ虫の混入は是が非でも避けねばなりません。それは虫の混入が、単なる異物感の問題だけでない大きなリスクをもたらすためです。

健康被害の危険性

ゴキブリやハエなどの虫は、病原性大腸菌(O157やサルモネラ菌など)やノロウイルスなどの病原体を保有している場合があります。また虫そのものが持ち込む病原体だけでなく、虫の体や排泄物に付着した汚染物質が食品に移行する可能性も否定できません。万一これらの虫が食品に混入したり、工場への侵入を許したりすると、製品を介して消費者が食中毒などの健康被害を受けるリスクが高まります。
もし健康被害を発生させてしまうと、被害者への損害賠償も必要ですし何よりその企業は社会的信用を大きく損ねてしまいます。

企業イメージの著しい低下

たとえ虫の混入が健康被害をもたらすまでに至らなかったとしても「製品に虫が入っていた」という事実は、その見た目のインパクトもあって、他の異物に比べて消費者により強く、不衛生・不快・気持ち悪いといったネガティブな印象を与えてしまいます。特に日本人は、こうした食品衛生面の問題には敏感です。
たとえ企業がその後の対応を誤らなかったとしても、SNSなどで情報が広がると悪い企業イメージが先行し、クレームや虚偽情報の拡散といった二次被害も起こりかねません。

虫の侵入経路

虫の侵入経路問題解決のためには、まず問題の発生原因を突き止め、次にその発生源に対策を行うというのがセオリーです。食品や製品への虫の混入を根絶するためには、まず工場や製造現場に虫がどうやって侵入してくるのか、その経路を確実に把握しておきましょう。

虫が工場内に発生するルートには、大きく分けて、建物の外から侵入してくるパターンと建物内部で繁殖するパターンの2つがあります。

外部からの侵入

工場や倉庫などの建屋外部から虫が侵入してくるルートは、主に以下の4種類があります。

①飛来侵入

外部から飛行可能な虫が自ら光や熱、臭いなどに集まってきたり、風に乗ってきたり、あるいは屋内の陰圧による外気の吸い込みなどによって建物の開口部や隙間から侵入してくることです。ハエや蛾、蚊などの羽虫は主にこの方法で侵入してきます。
開放状態の窓やドア・出入口、換気口や通気口、室外機、建物の構造上の隙間など、あらゆる隙間から侵入のリスクがあるため対策は簡単ではありません。

②歩行侵入

屋外から工場の床や壁、配管などを伝って侵入してくることです。ゴキブリやアリ、ダンゴムシ、ムカデなど歩行する虫は主にこの方法で侵入してきます。
壁や床の亀裂、ドアの隙間、排水溝や配管の通気口などを利用して侵入します。特に老朽化が進む古い建屋では注意が必要です。また飛来侵入と同様、出入口や搬入口も歩行侵入のポイントとなります。

③排水系発生侵入

工場・施設内の排水口や排水溝、下水管、排水トラップなどの排水設備、古い水たまりなどからを経由して施設内に侵入してくることです。チョウバエ、ゴキブリ、ハエ類などが主にこの方法で侵入してきます。
こうしたスポットは湿度が高く汚れや有機物がたまりやすいため、虫が集まる格好の場となります。設備の不備や清掃の不十分、点検不足などがあると侵入リスクはより高まるため要注意です。

④人為的侵入

様々な人の工場や施設への出入り(従業員・作業者・顧客・来訪者など)、原材料や資材の搬入出、清掃用具や工具の管理不備など、人間の活動に伴って虫が建物内に持ち込まれることです。
虫が屋内で発生する原因の多くはこの人為的侵入と言われており、衣服や靴、車や重機、荷物やダンボール、パレットなど様々なものが媒介となりえます。対策には人や物の厳重な管理が必須です。

内部での繁殖

何らかの理由で工場・施設等に侵入した虫が建物内で産卵し、繁殖してしまうというケースもあります。この場合、いくら外部からの侵入対策を行っても意味がなく、虫の逃げ道を断つという点ではむしろ逆効果でしょう。早急に発生源を突き止めて駆除などの大規模な対策が必要です。

水回りや配管回り、排水溝周辺、雨水のたまり場など、湿気の多い場所は虫が繁殖しやすくなります。特に排水溝や排水設備は管理が行き届いていないと不衛生になりがちで、そこから発生する悪臭や管内の汚物も虫が集まり繁殖しやすい要因です。
また食品や原材料の保管庫や、食品くずが散乱している・カビが繁殖しているなど、虫の餌になるものが豊富な場所でも繁殖の危険性があります。

虫の侵入対策の流れ

様々な経路で虫が建物内に侵入するリスクについてご理解いただけたかと思います。
もし皆様が工場内で異物混入や虫の侵入を発見した場合は、被害を最小限に食い止めるためにもできるだけ速やかに再発防止に取り組まねばなりません。その大まかな流れをご説明します。

①侵入した虫を特定する

まずは侵入が確認された虫の種類を特定しましょう。種類によって生息する環境や行動パターンは異なりますので、どの分類にあたる虫かを把握しておけば適切な駆除や対策を行いやすくなります。小さな虫を見た目で判別するのは難しいかもしれませんが、当コラムでも異物混入の原因になりやすい虫についてご紹介していますので、ぜひ以下の記事をご参照ください。

異物混入トラブルはこの虫に要注意!対策はどうする?

②侵入経路や発生源を調査する

次に虫が建物内に侵入してきた経路や発生源を調査します。もちろん完全に経路を特定できれば理想ですが、広い工場や建物の中から小さな虫の出所を見つけ出すのは簡単ではありませんので、工場内で侵入や発生が起こりそうな場所の絞り込みから始めることになるでしょう。上述した4つの侵入や繁殖が起こる可能性の高い場所をチェックしていきましょう。

③虫を駆除する

虫の発生源を確認できれば、その虫の駆除を行います。具体的には薬剤による駆除や発生・生息場所の清掃になりますが、詳しい方法については専門の業者に相談・依頼されることをおすすめします。中途半端な知識や手法を用いてきちんと駆除できなければ、異物混入の再発リスクは免れないでしょう。

④侵入対策を行う

今いる虫の駆除が完了したら、新たな侵入や発生を防ぐための対策を行います。
侵入経路となった可能性の高い箇所への対策はもちろん、同様の原因で虫の侵入等が起こりそうな場所を建物全体でチェックし、先回りして対策を行うようにしましょう。中には大がかりな修繕や設備の更新が必要となる場合もあるかもしれませんが、異物混入トラブルの防止には代えられませんので、問題解決のために一つ一つ取り組んでいただきたいと思います。

今からできる、虫の侵入対策

様々なルートで工場内に侵入してくる虫を食い止めるためには、対策する側も様々な手段を講じる必要があります。ここでは虫の侵入経路別に、よく採用されている防虫対策をご紹介いたします。全ての対策を一気に行うのは大変ですが、工場・施設で衛生管理を担当される皆様はぜひご参考になさってください。

侵入経路別の一般的な対策

飛来侵入

  • 窓やドア、出入口に防虫ネットやスクリーンを設置し、開閉時の侵入リスクを抑えます。
  • シャッター側部の隙間など、外部に通ずる建物の隙間を密閉します。
  • 空調配管や通気口に防虫用のフィルター等を取り付けます。
  • 工場内を陽圧(空気圧が外部よりも高い)の状態にして虫の侵入を防ぎます。
  • UVライト式捕虫器や粘着トラップを設置して飛来する虫を迅速に捕獲します。

歩行侵入

  • ドアやシャッターの下部に防虫ブラシやゴムパッキンを設置して侵入を防ぎます。
  • 壁や床の亀裂を修繕し、シール材で密閉します。
  • 排水口に防虫用のフィルター・格子等を取り付けます。
  • 配管や通気口に逆流防止バルブや密閉パッキンを設置します。

排水系発生侵入

  • 排水口に溜まったぬめりや有機物を定期的に除去し、虫の発生源を断ちます。
  • 排水トラップで空気の逆流を防止し、虫の侵入を抑えます。
  • グリストラップを定期的に清掃し、油脂を分離・回収して虫の発生源を断ちます。
  • 排水口に防虫用のカバーやフィルターを設置します。
  • 床面や排水設備の周囲は常に乾燥を保つように管理します。

人為的侵入

  • 作業服や靴は専用のものに着替えるように指導します。
  • 衣服や靴に付いた虫を除去する設備(エアシャワー・靴底洗浄機等)を導入します。
  • 搬入口や出入口にエアカーテン・ビニールカーテンを設置します。
  • ドアやシャッターの開閉は必要最小限にします。
  • 原材料や資材の搬入時に異物混入がないかを点検します。
  • 外部で使用した清掃道具や工具は適切に洗浄した上で施設内に持ち込み管理します。
  • 従業員に異物混入リスクとその防止策に関する教育を定期的に行います。

その他

  • 建物や倉庫、周辺のゴミ置場や空き地などを清潔に保ち、昆虫の繁殖源を断ちます。
  • 必要に応じて専門業者に依頼し、定期的な調査や駆除を実施します。

本格的な対策は専門業者に依頼を

ここにあげた様々な対策はどれも重要なものばかりですが、何をやるべきかを知るのと、実施にやるのとは大違いです。「たくさんありすぎて、どこから手をつければ良いのか分からない!」というのが本音ではないでしょうか。

皆様の職場で本格的に虫の侵入対策を行うのであれば、やはり「餅は餅屋」、工場等の衛生管理を専門的に行っている次のような会社に依頼するのが最善です。最先端の知見と技術力で、虫の侵入原因の追及、対策の立案・実行や効果確認などをサポートしてくれるでしょう。
アース環境サービス株式会社(外部サイトが開きます)

虫の侵入をしっかりガード!工場やオフィスに欠かせないサンロードの超便利アイテムをご紹介

異物混入の問題に取り組み続けている私たちサンロードでも、食品工場などへの虫の侵入を防ぐのに役立つアイテムを開発しており皆様にご好評いただいております。どちらも大掛かりな設置工事を必要とせず、すぐにでも導入できます。異物混入対策にお困りの方はぜひご利用ください!

とおさないフィルター

とおさないフィルター「とおさないフィルター」は、業務用エアコンや空調ダクト、給・排気口などの開口部に設置する特殊フィルターです。気流に含まれるホコリやチリの飛散を防ぎ、開口部から侵入する小さな虫などを逃さずキャッチします。
マジックテープで取り付けるため設置や交換に難しい作業や工事は不要。オーダーメイドによりあらゆる形状・サイズの開口部や空調機に対応できます。また通気性の高い素材を採用しており空調機に負担をかけません。目の粗さは3種類から用途に応じてお選びいただけます。

詳しくはこちらの特設ページをご覧ください。
エアコンの異物対策はこれでカンペキ「とおさないフィルター」

窓換気ネット

窓換気ネット「窓換気ネット」は、通気性と捕虫性能の高いネットで窓全体を覆うことのできる製品です。ネットを設置した状態で窓の開閉を行えるので、虫や異物を気にせずに窓換気ができます。一般的な網戸よりも細かい0.25mm(約80メッシュ)の網目を採用しており、網戸をすり抜けてくる小さな虫の侵入も防げます。
窓枠に貼り付けたマジックテープに固定するため設置・交換も簡単。網戸のない窓や網戸の取り付けが難しい窓にも利用できます。こちらもオーダーメイド対応が可能です。

詳しくはこちらをご覧ください。
虫や異物を気にせずに換気ができる便利アイテム!「窓換気ネット」のご紹介

極とりフィルター

窓換気ネット「極とりフィルター」は、室内の給気口や排気口に直接かぶせるタイプのフィルター製品です。給気・排気に含まれる花粉・PM2.5・虫・ホコリ・粉じん・黄砂などの異物が室内に侵入するのを低減します。集じん性と通気性を両立した特殊素材を使用。様々な形状の通気口に対応しており、虫の侵入防止と空気環境の改善を誰でも手軽に行える便利アイテムです。

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まとめ

異物混入トラブルの主因の一つである、小さな虫の侵入経路や防御策についてご説明してきました。
どんな異物でも混入は避けねばなりませんが、特に食品工場での虫の混入は健康被害のリスクや企業イメージの失墜などダメージが大きいため、何としても食い止めたいところです。
侵入ルートも対策方法も様々ですが、できることから一つずつ、地道に取り組んでいただければと思います!

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