ソックダクトとは？高機能で異物混入対策にもなる注目の空調設備

食品工場などにある、空調設備の吹出口から風と一緒に出てくる塵やほこりは、異物混入の原因となります。これには高性能のフィルターを付けるなど様々な対策がありますが、その中でも、最近注目されている手段の一つが「ソックダクト」です。
ところで皆さま、ソックダクトってご存じでしょうか？正直、名前も聞いたことがないという方も多いと思いますが、とても優れた製品なのでこの機会にぜひ知っておいてください！

ソックダクトとは？

ソックダクト（写真）は特殊な布などで作られた袋状の器具で、空調を行いたい部屋などの天井に設置します。中は空洞になっていて、袋の一方は空調機につながっているので、一般的なダクトと同様に空調機から吹き出す空気を運ぶ役割を持っています。
ちなみにソックとは靴下（sock）という意味です。「布でできた筒状のもの」という点が靴下と共通しているためにこの名前が付いたと思われます。

私たちがよく目にする空調といえば、エアコンや空調機の吹出口が室内の所々にあって、そこから適温の空気が室内に吹き出されるというものです。
一方ソックダクトには、吹出口がありません。「じゃあエアコンの空気が出られないじゃん！」と思われるかもですが、ソックダクトは、それ自体が通気性のある素材で作られています。中の空気はダクトの表面全体から緩やかに吹き出ていて、それで部屋の広い範囲を空調する仕組みです。

ソックダクトのメリット

これまでの空調設備とはちょっと違うソックダクトですが、実は従来の空調で問題とされてきた点を解消する、いくつものメリットがあるんです。その主なものをご紹介していきます。

温度ムラが出にくい

一般の空調では、吹出口周辺とそれ以外の場所で「効き」に大きな差ができます。同じ部屋にいるのに「冷房効きすぎ！」という人もいれば「もっと効かせて！」という人もいる…なんて経験、皆さんも少なからずあるのではないでしょうか？

この点、ソックダクトは吹出口を持たず、長いダクト全体の表面から同じ空気をほぼ同圧で放出しますので、場所による温度ムラがあまりなく、室内のどこにいても快適な環境を作れます。

緩やかで優しい気流

ソックダクトは、通気性のある生地の隙間からダクト内の空気がゆるやかに放出する仕組みですので、ファンのように強い風が吹き出すことはありません。

空調の風が直接顔や体に当たるのって、けっこうイヤですよね。急な暑い・寒いが不快だし、お肌も乾燥しやすいし。ソックダクトだと、そういったストレスはなく快適です。さらに塵やほこり、毛髪などが舞い上がって製品に混入してしまうリスクや、風による製品の乾燥も抑えられます。
反面、風を思い切り吹き出しての急速な冷暖房には向きませんので、用途に応じて他の空調設備と使い分けましょう。

フィルター効果

ソックダクトは生地を通して空気を排出するため、その素材にもよりますが、一定のフィルター効果があります。
もちろんエアコンや空調機の内部にはフィルターがあって、そこでも空気中の異物が除去されますが、さらにソックダクトを通すことで異物がこし取られ、よりきれいな空気になります。高い清浄度が求められるクリーンルームなどでソックダクトが使われているのもうなずけますね。

メンテナンスしやすい

ソックダクトは空調機の吹出口の外から付け外しができるので、メンテナンスや交換はとても簡単です。

空調機やエアコンの内部に設置されたフィルターだと、こうはいきません。取り外すだけでも一苦労ですし、何台ものフィルターを外して掃除して、また戻して、という作業はなかなかのもの。とはいえ異物混入を防ぐための、肝心のフィルターが異物（汚れ）まみれでは意味がありませんからね。メンテナンス性は重要です。

耐震性が高い

ソックダクトは布や不織布などを素材として作られているため、一般的な金属製ダクトと比べると非常に軽量です。また従来の空調システムでは天井内にダクトや吹出口、ユニットなどを取り付けるための天井材などが必要ですが、ソックダクトならこうした部材や機器類も少なくて済みます。
このため、ソックダクトは地震の際にダクト本体や機材・部材などが落下するリスクが小さく、耐震性が高いといえます。

様々な場所で活用できるソックダクト

このように様々なメリットがあるソックダクトは、従来の空調システムに代わる新しいタイプの空調器具として注目されています。
スーパーゼネコンの一社である大成建設は、半導体や電子部品、精密機器などの工場のクリーンルーム向けにソックダクトを用いたクリーンルームシステムを開発し、話題となりました。
※詳しくはこちらをご覧ください。
布製ダクトによるクリーンルームシステム｢T-Flexible Cleanroom Membrane｣を開発（大成建設公式サイト）

このようにクリーンルームへの導入が見込まれる他、次のような場所にもソックダクトの活用が期待できます。

食品工場

食品への異物混入トラブルは大きな社会問題に発展するリスクもありますので、製造現場となる食品工場では、より高いレベルでの異物混入対策が求められています。特に近年はHACCPへの対応も必須となっており、クリーンな環境をつくるための方法にはどれだけ力を入れても入れすぎることはないでしょう。
その一環として、少しでも空気中に塵やホコリ、毛髪などの異物が発生しないための対策にソックダクトによる空調の導入をおすすめします。

塗装工場

上で申し上げたように、空調時に風を発生させないという点がソックダクトの大きなメリットの一つです。つまり、室内で不要な風が発生してしまっては困る作業環境ではこのソックダクトによる空調がとてもマッチしているといえます。
例えば塗装工場などで、風があると塗装の乾燥に影響を及ぼすような場所には、ソックダクトを用いた空調がぴったりです。

不織布製ソックダクト「電石サニフィルター」がスゴイ！

ここまでソックダクトについて延々ご説明してきたところで、最後に私たちサンロードからご提供しているソックダクトをご紹介させていただきます！ぱちぱちぱち（拍手）
その名も「電石サニフィルター」です！

電石サニフィルターの最大の特徴は、ソックダクトの素材に、東レ株式会社が開発した電石不織布「トレミクロン®」を使用している点です。
トレミクロン®は特殊加工により繊維の一本一本が電気の力を持っており、生地の表面に強力な電界を形成します。その力によって、空調機の風に含まれる塵やホコリ、細菌やカビなどの異物を強力に吸着・捕集してくれます。
静電気を帯びた下敷きを頭に近づけると、髪の毛がくっつくの、ご存じですよね？要はあれと同じ現象が、ソックダクトの生地まわりで起きるということです。

このトレミクロン®の働きにより、電石サニフィルターはソックダクトの優れた特長を持ちながら、異物混入を防ぐ能力をさらにパワーアップさせています。花粉やカビはもちろん、たばこの煙やウイルスといったレベルの微細な粒子も高い捕集率でキャッチ。もちろん通気性はしっかり維持しており、ダクトの隅々までまんべんなく、穏やかで温度ムラのない風を吹き出してくれます。

布製ソックダクトよりも、こんなにスゴイ！

電石サニフィルターは不織布でできていると申し上げましたが、実は現在、販売されているソックダクト製品の多くは布製です。もちろん布製のソックダクトにも、「ソックダクトのメリット」の章でご紹介したような利点はあるのですが、不織布製の電石サニフィルターは、布製ソックダクトにないさらに多くのメリットを持っています。
電石サニフィルターが布製ソックダクトよりも優れている点は次の通りです。

①高い捕集性能

電石サニフィルターは素材である「トレミクロン®」の高い吸着効果により、0.3～1.0μｍという非常に小さな粒子も高い捕集率でキャッチしてくれます。カビや細菌はほとんど捕集しますので、食品工場内で使用されると食品の鮮度保持にも大きく貢献します。
一方、布製ソックダクトでは0.3～1.0μｍの粒子の多くがフィルター外へ抜けてしまいます。

②低コスト

電石サニフィルターの価格は、同じサイズの布製ソックダクトのおよそ10分の1程度。非常に低コストで導入していただけます。

③圧力損失（空気抵抗）が低い

電石サニフィルターの素材・トレミクロン®は、高い通気性と優れたフィルター機能を兼ね備えています。そのため通気による圧力損失が低く、エアコンの負荷が抑えられ冷却効果を損ないません。
布製ソックダクトの場合、長期間使用すると目詰まりを起こして圧力損失が高くなり、エアコンへの負荷も大きくなる恐れがあります。

④衛生的

電石サニフィルターは、一定期間使用して汚れたら新品に交換できるディスポタイプなので大変衛生的です。
布製ソックダクトは洗濯して繰り返し使う前提のものなので、使い続けているとやがては洗濯しても汚れやカビ・臭いなどを完全には除去できなくなってきます。

⑤洗濯の手間とコストが不要

④でご説明した通り、電石サニフィルターはディスポタイプなので洗濯の必要がありません。
一方、布製ソックダクトの洗濯はご家庭でできるものではなく、クリーニング業者に依頼しなければなりません。洗濯代はかさみますし、洗い替え用にソックダクトの予備が必要です。

⑥取り付け・交換作業が簡単

布製ソックダクトは、金属より軽いとはいえ厚手の布でできているので結構な重さになり、交換作業が負担となります。
一方、電石サニフィルターは不織布でできているため布製品よりもはるかに軽量です。そのため高い所への取り付けや交換作業も負担が少なく簡単です。

まとめ