食品や医薬品の製造現場では、異物混入対策として衛生帽子の着用が不可欠です。通常は頭髪の落下防止が目的ですが、品質管理が厳しい現場では、それだけでは不十分なこともあります。実際には、眉毛やまつ毛といった顔まわりの細かい毛の落下も見逃せない混入リスクです。
そこで注目されているのが「シールド付きフードキャップ」。顔全体を覆うことで、こうした細かな異物まで防げる新たな対策アイテムとして導入が広がっています。本コラムでは、異物混入リスクの実態と眉毛・まつ毛の対策、そしてシールド付きフードキャップの特長をご紹介します。
異物混入の原因物質は?
異物混入対策の最前線に立つ現場にとって、「混入の原因を正確に把握すること」は非常に重要です。どんな対策も、原因を知らずしては効果的に機能しません。
異物混入の原因物質に関しては、次のようなデータがあります。
これは全国150自治体の平成28年~令和元年度における食品への異物混入に関する苦情事例をもとに、混入異物の内訳を集計したものです。
異物の種類 | 件数 | 割合 (%) |
---|---|---|
虫(ハエ・ゴキブリ・虫卵など) | 3,507件 | 23.9% |
合成樹脂類(ビニール・ゴムなど) | 2,565件 | 17.5% |
動物性異物(毛髪・歯など) | 2,504件 | 17.1% |
鉱物性異物(砂・石・ガラスなど) | 2,318件 | 15.8% |
植物性異物(※) | 1,082件 | 7.4% |
食品の一部 | 986件 | 6.7% |
寄生虫 | 403件 | 2.7% |
絆創膏 | 111件 | 0.8% |
その他 | 1,208件 | 8.2% |
出典:全国における食品への異物混入被害実態の把握(厚生労働科学研究成果データベース)
最も多く原因となっているのが虫の混入(23.9%)で、次いでビニールやゴムなどの合成樹脂類(17.5%)、毛髪などの動物性異物(17.1%)と続きます。まずはこれらの異物への対策を考えるのが最優先です。だからこそ私たち異物混入ラボでは、これまで毛髪や虫の異物混入ついて様々な角度から考えてきました。
見落としやすい「眉毛」
多くの工場では、毛髪混入を防ぐため、頭部を覆う衛生帽子や衛生キャップを標準装備としています。確かにこれらは頭髪の落下をかなりの程度まで防ぐことができます。ここで見落とされがちなのが、「眉毛やまつ毛」など、顔の細部にある毛の存在です。
特に眉毛は、視線が下を向く動作や表情の変化などで物理的な刺激を受けやすく、意外にたやすく抜け落ちます。どれだけ頭部が帽子やマスクで覆われていても、眉の上部や横側から抜けた毛が商品や製造ラインに落下するリスクが残ってしまうのです。
実際に、製造業や食品加工業の現場では、毛髪の混入クレームの中に「短く細い毛が入っていた」というケースが報告されることもあり、これがまさに眉毛やまつ毛である可能性が高いと考えられています。
眉毛が抜け落ちる原因
眉毛の混入リスクが見過ごされがちである一因に、「眉毛はそんなに簡単に抜けないのでは?」という誤解があります。確かに頭髪ほど長くも多くもない眉毛ですが、実は眉毛は意外と抜けやすい部位です。特に作業中の動作や環境要因が加わることで、そのリスクは高まります。
まず、眉毛は「ヘアサイクル(毛周期)」と呼ばれる毛の生え変わりサイクルが頭髪よりも短く、一般には成長期が4~8週、休止期がおよそ3ヶ月。およそ4~5ヶ月周期で全ての眉毛が生え変わるといわれています。そもそも眉毛は、比較的短期間で自然に抜ける構造になっているわけです。
また、以下のような外的・内的要因によって、眉毛が抜けやすくなることもあります。
- 眉毛の抜き過ぎ:成長期の眉毛を無理に抜くと毛根組織が傷ついて新しい毛が育ちにくくなってしまうことがあります。
- メイクの洗い残し:メイクや日焼け止めクリームの洗い残しは毛穴の詰まりや毛根組織の炎症の原因となります。
- ストレスや睡眠不足:ホルモンバランスの乱れや血行不良によって、毛の成長が抑制され、抜けやすくなります。
- 加齢:年齢とともに眉毛が細くなり、密度が下がるため、軽い接触でも抜けるリスクが増します。
- 肌の乾燥・刺激:乾燥や擦れにより、眉毛の根元が弱くなり、脱落しやすくなることがあります。
このように、眉毛は環境や体調、作業動作によって日常的に抜け落ちる可能性がある毛であり、異物混入リスクを完全にコントロールしたい現場にとっては、見逃してはならない要因なのです。
眉毛落下対策に有効な「シールド付きフードキャップ」
通常の衛生帽子や衛生キャップでは、頭部の毛髪落下は防げても、眉毛をキャッチすることはできません。そこで頭髪だけでなく、眉毛やまつ毛のような細かい毛の落下対策を講じるために開発されたのが「シールド付きフードキャップ」です。
これは、従来の衛生帽子に透明なフェイスシールドを一体化させた製品で、作業者の顔全体を物理的にカバーし、毛の落下を防ぐ構造になっています。
キャップ部分は頭部を包み込むフード形状で髪の毛をしっかりと収納し、さらに顔の前面には透明のシールドが配置されており、眉毛やまつ毛が落下するリスクを物理的に遮断する役割を果たします。通常の帽子では対処しきれない「顔まわりの細かな毛」に対応でき、異物混入の防止精度が格段に向上します。
シールド付きフードキャップは、異物混入のさらなる低減を目指す現場において非常に心強いアイテムであり、食品工場や医薬品製造、精密機器の組立ラインなど、異物ゼロが厳格に求められる環境で今後ますます導入が進む可能性があります。
従来の既製品の問題点
精度の高い異物混入対策に有効な「シールド付きフードキャップ」ですが、現場での運用を想定すると、いくつかの課題も浮かび上がってきます。
まず最も多く聞かれるのが、シールドの曇りです。顔の前面を透明素材で覆うため、呼気や作業中の体温によってシールド内に湿気がこもり、曇って視界が悪くなることがあります。これは特に長時間の作業や、温湿度の高い環境下で顕著になります。
また衛生帽子を長時間快適に使う上でほど良い通気性は不可欠ですが、シールド付きフードキャップはその構造上、密閉性が高くなりがちです。内部に熱がこもりやすく、結果として着用者の「暑い・蒸れる」などの不満につながります。特に夏場や体を動かす作業の多い現場では大きな課題です。
その他、細かいところでは「フィット感が悪い」「取り外しができず衛生管理がしにくい」といった問題が挙げられますが、このタイプの衛生帽子は既製品の選択肢が限られており、用途や作業環境に応じた細かな調整が難しく、既存製品では現場のニーズに十分対応しきれないケースも見受けられます。
オーダーメイドで問題解決!サンロードの「シールド付き衛生フード」
シールド付きフードキャップは、眉毛やまつ毛など微細な異物の落下を防ぎ、異物混入防止という大きな目的において非常に有効である一方、着用感や快適性の面では課題も多く、既製品で十分満足できるものはなかなかないというのが実態でした。
そこで私たちサンロードでは、現場のリアルなニーズに応えるべく、独自のオーダーメイド製品を開発。異物混入防止性能はそのままに、作業者の快適性や運用面での使いやすさを大きく改善しています。
当社製品の主な特長
①口元のメッシュは「上と横」を開放して蒸気を逃がす
従来のフェイスシールド付きキャップでは、呼気が内部にこもりやすく、曇りの原因となっていました。当社製品では、口元部分にメッシュ素材を採用し、そのメッシュ部分は上方向と側面方向を開放。これにより呼気が効率よく外に抜け、シールドの曇りを大幅に軽減します。
②顔とシールドの間に「適度な隙間」を設け、顔に当たらず快適
一般的な製品では、シールドが顔に近すぎて圧迫感や接触による不快感を覚えることがあります。当社製品では、シールドを顔から適度に浮かせた状態を維持できる設計になっており、圧迫感をなくし、長時間の着用でもストレスを感じにくくなっています。
③シールドに「緩やかなカーブ」を設け、視界を妨げない
シールド部分には緩やかな曲げ加工を施しているため、直線的なシールドに比べて視野が広く、周囲の作業者や機材との視線のずれも少なくなります。これにより安全性と作業効率を両立しています。
④鼻押さえ部分を工夫し、蒸気の上昇をコントロール
呼気が上方向に集中すると、シールド内に湿気がこもりやすくなります。これに対応するため、鼻押さえ部分に独自の立体構造を採用し、呼気が自然に分散・排出されやすいよう設計。蒸気は上がりにくく、かつスムーズに逃げる構造となっています。
⑤シールドは「軽量・取り外し式」で洗濯も可能
毎日使う衛生キャップだからそ、メンテナンス性も大切。当社のシールドは軽量で取り外しが可能な設計であり、洗濯や交換も簡単に行えます。これにより衛生的な管理がしやすく、長く安心してご利用いただけます。



現場ニーズから生まれた特許製品
このシールド付きフードキャップは、独自の機能構造が認められ、令和7年1月21日に特許登録されました。(特許番号:特許第7623669号)
異物混入対策と作業者の快適性を両立するために、「現場目線」の様々な工夫と細部へのこだわりを積み重ねた結実といえる本製品は、オーダーメイドだからこそ実現できたものです。
オリジナル衛生帽子の開発ならお任せください
今回ご紹介したシールド付きフードキャップのように、私たちサンロードは現場のニーズに応じたオリジナル衛生帽子の開発を得意としています。既製品では対応しきれない細かな仕様や、現場特有の課題に対して、オーダーメイドならではの自由度と柔軟性を活かし、最適な製品をご提案しています。
食品工場や医薬品工場、化粧品工場などでは、異物混入を防ぎたいだけでなく「かぶり心地を良くしてほしい」「帽子の中が蒸れて暑い」「識別しやすくしてほしい」などといった複合的なニーズが存在します。サンロードではこうした要望に対し、機能性・衛生性・快適性を兼ね備えた製品設計を実現しています。
サンロードの衛生帽子オーダーメイドの強み
より詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
衛生キャップのカスタマイズ・オーダーメイドはお任せください
形状・寸法・生地など、あらゆるご要望に細やかな対応
当社のオーダーメイドの強みは、何と言ってもその「引き出し」の多さ。600種類を超えるベースパターンに加え、形状・寸法・生地・パーツに至るまで細かな仕様変更が可能です。「こんな細かい調整も対応できるのか?」というお悩みにも、柔軟かつ丁寧に対応。長年培った技術とノウハウを活かし、既製品では実現できない最適な衛生帽子を一緒にお作りします。
全国1,000以上の事業所で採用の実績と信頼
当社の衛生帽子「サニキャップ」は、日本国内の1,000以上の事業所で採用されており(2019~2023年度の5年間)、その品質は大手企業様にも高くご評価いただいています。
「サニキャップ」製造で培った技術力や商品開発力で、皆様のご要望を満足するオーダーメイド衛生帽子をご提案・ご提供いたします。
日本国内の自社工場にて製造
製品はすべて日本国内の自社工場で製造。営業と現場の緊密な連携により、試作はご依頼後2週間程度で製作可能。最新設備と熟練のスタッフを擁する生産体制のもと、完成まで丁寧に改良・改善を重ねてます。小ロット生産は30枚から。さらに縫製業界では希少なクリーンルームを導入し、徹底した異物混入対策と衛生管理を実現。品質・スピード・安全性のすべてを両立しています。
まとめ

異物混入対策の精度がますます求められる今、眉毛やまつ毛といった見落とされがちなリスクにまで配慮することは、製品の品質と信頼を守るうえで欠かせません。「シールド付きフードキャップ」もその対策の一つです。
私たちサンロードでは、オリジナルのシールド付きフードキャップをはじめ、機能性と快適性を両立させた様々なオーダーメイド製品をご提供しています。皆さまの衛生環境の向上にお役に立てればと思いますので、お困り事があればお気軽にご相談ください!