異物混入ラボでは、これまでに様々な切り口で、食品工場などにおける異物混入への対応について取り上げてきました。中でも特に注目してきたのが、私たちサンロード製品との関わりも深い「毛髪混入対策」です。
髪の毛の混入を防ぐために、現場のスタッフや関係者ができることはたくさんあります。ここで改めて、毛髪混入をなくすために押さえておきたいチェックポイントをまとめておきたいと思います!
「異物」は毛髪以外にもいろいろある
一口に「異物混入」といっても、異物にはいろいろな種類があります。
厚生労働省監修の「食品衛生検査指針」によると、異物とは「生産、貯蔵、流通の過程で不都合な環境や取扱い方に伴って、食品中に侵入または混入したあらゆる有形外来物」と定義されていて、その由来や性質などから、大きく次の3つに分類されています。
動物性異物
人や虫、その他の動物が由来となる異物です。
人由来のものは、毛髪や爪、皮膚、血液、歯など。また虫やネズミ、鳥類などの体や排泄物なども該当します。
植物性異物
植物片や種子、木片など植物由来の異物です。
カビや細菌などの微生物、紙類、ゴム片などもこの植物性異物に該当します。
鉱物性異物
石や砂、金属、ガラスなどが由来となる異物です。
その他、樹脂やゴム、貝殻片もこの異物に該当します。
どの異物も、混入してしまうと様々な問題やクレーム発生の原因となります。異物混入への対応は必須で、特に食品などに混入して健康被害をもたらすものだと社会問題にまで発展しかねず、企業のダメージは計り知れません。
一方、毛髪に関しては、そもそも人体から発生したものですので、健康被害の心配はほぼ無いといって良いでしょう。それでも、食べ物に毛髪混入が認められるとイメージは相当悪くなりますし、もちろん食品以外でも、混入を防げるにこしたことはありませんよね。
毛髪混入対策がやっかいな理由
異物にもいろいろな種類があるのは前章の通りですが、とりわけ、毛髪が混入対策をとりにくいのにはいくつかの理由があります。
作業者自らが発生源となる
毛髪は人間由来の異物で、しかも体から落ちやすいものです。どれだけ作業現場に持ち込まないように注意しても、そこで作業する人自体から出てしまうのが毛髪ですから「発生源を断つ」という対策が事実上とれません。
いつ毛髪が発生するか分かりませんので、毛髪混入のチェックや対策を、できるだけ頻繁に行う必要があります。
静電気で引き寄せられる
髪の毛は静電気に引き寄せられる性質を持っています。私たちは日常生活の中で気づかないうちに体や衣服に静電気を帯びており、これに毛髪が引き寄せられてくっつくと、軽く手で払ったくらいではなかなか落ちません。粘着ローラーなどで物理的にくっつけたり、エアシャワーの強い風で吹き飛ばすくらいしないと、なかなか取れないのがやっかいです。
軽量でわずかの風に舞う
一本一本の毛髪はとても軽く、人や物が動いた時に起こるちょっとした風でも舞い上がって空気中を移動します。一度掃除した場所や混入をチェックした箱の中にも、知らないうちに、掃除が行き届いていない他の場所から毛髪が舞い込んでくる可能性があるので油断できません。
目視で発見しにくい
日本人の毛髪の太さは平均約0.08mm。非常に細く、ぱっと見で見つけるのはなかなか大変です。毛髪が目立ちやすい白系統の作業着や作業台を使えば発見しやすいですが、作業環境によっては十分な注意が必要です。
毛髪混入をなくすための4原則
なかなか一筋縄ではいかない毛髪混入対策。いざ職場に取り入れようとする時は、どのように考えていけばよいのでしょうか?
これについて「毛髪混入対策の4原則」というものが知られています。
混入を防ぐためには毛髪を「持ち込まない」「落とさない」「留めない」「取り除く」という4つの方針をまとめた言葉で、「留めない」と「取り除く」を1つにして「3原則」といわれることもあります。
持ち込まない
作業場に毛髪を持ち込まないための対策には、大きく2つの考え方があります。
建物に持ち込まない
作業者が家から会社等に来る前段階で取れる対策です。
例えば、出社前にブラッシングや洗髪をして抜け毛をしっかり落としてくる、自宅で作業着の洗濯をする場合は他の衣類と別々に洗うなどの対策があります。
現場に持ち込まない
作業者が出社後、作業現場に入るまでに行う対策です。
作業着に着替える時に毛髪が付かないよう注意する、粘着ローラーやエアシャワーを正しく使う、靴に付いた毛髪を落とす、更衣室をきちんと掃除する、といったものがあります。
落とさない
先ほど申したように、毛髪の発生源は作業者本人です。たとえ外から持ち込まなくても、作業者の頭から毛髪を落としてしまえば意味がありません。
作業中はキャッチ力のある衛生キャップや作業着を着用して、毛髪の落ちる隙間を作らないための対策が必要です。頭のサイズに合ったキャップを着用するのはもちろんのこと、「かぶり方は間違っていないか」「着用感が悪いせいで作業中に頭をいじっていないか」「キャップを使い古して緩くなっていないか」なども要チェック。
また、前かがみでの作業やよく動き回る作業では、毛髪が落ちるリスクが高まります。業務上やむをえない部分もあると思いますが、できる限り改善したいものです。
留めない
床や物陰に落ちてしまった毛髪を、そこに留めないための対策も大切。放っておくと、それが舞い上がってあちこちに飛ばされ、商品などに混入する恐れがあるからです。
この「留めない」対策としては、こまめな掃除が必須となります。毛髪は軽量でよく動きますので、掃除する場所も床だけでなく、棚の上、機械や架台の下部、壁際や排水溝・ピットなど、髪の毛がたまりやすい場所はすべてです。
特に製造ラインや商品の容器・包材の周辺は念入りに行いましょう。
取り除く
あの手この手で混入対策に取り組んでも、それでも商品などに毛髪が入ってしまう可能性はゼロにはなりません。そこで最後の砦として、商品のチェックや梱包の段階で毛髪を発見して取り除くのが4つめの「取り除く」です。
目視やセンサーによる検品・チェックを、風を当てて飛ばす、フィルターを通すなど、その手法は商品によって異なりますので適した方法を採用してください。
異物混入への対応に!毛髪混入対策・チェックリスト!
ここまでご説明してきたいろいろな毛髪混入対策をリスト化しました。
これらすべてに対応できていなければダメ、というわけではありません。皆さんの職場環境に応じて、混入対策がどれだけできているか?をはかる参考になさってください。
作業員について(出社前)
- 洗髪・入浴で抜け毛を落とす
- ブラッシングで抜け毛を落とす
- 衣服に粘着ローラーをかける
- 作業着を自宅で洗濯する場合は他の衣類と分ける
作業員について(作業現場に入る前)
- 作業着を正しく着る(上着はズボンの中に、袖口を緩めないなど)
- 長い髪はまとめて帽子の中におさめる
- 粘着ローラーをかける(上から下へ、正しい方法で)
- 目視確認(鏡で確認・作業者同士で確認しあう)
- エアシャワーを通る
- 除電設備(除電マット等)を使用する
更衣室について
- 私服と作業着はロッカーを分ける(接触させない)
- 全身が見える鏡を置く
- 下足箱に粘着ローラーを置く
- 掃除を頻繁に行う
- すのこを使わない(掃除しにくいため)
- 床を粘着マットにする
作業着について
- 毛髪落下防止に有効な作業服・キャップを選ぶ
- 作業者に適したサイズを選ぶ
- 帽子の下にヘアネットをかぶる
- 静電気が起きやすい服装を控える(例えばポリエチレンと綿の組み合わせ)
- 帯電防止の着衣を利用する
- クリーニングはまとめて行う
作業場内での行動
- 服や帽子に手を触れない
- 作業中も定期的に付着やはみだしを確認する
- 付着や落下を見つけたらすぐ取り除く
- 掃除をする・しやすい状況を作る(ほうきは毛髪が舞いあがるのでNG)
- ラインや開封状態の物の近くを走らない
- 前かがみをなるべく避ける(製品の上に覆いかぶさるなど)
- 必要以上に動き回らない(人が動くと風が起きて毛髪も動く)
- 入退室時のルール(ローラー、エアシャワーなど)を明確にする
作業場内での物の管理
- 毛髪が入らないよう、シートなどで保護する
- 開封済みの物や箱を放置しない
- 低い位置に置かない(空中の毛髪の落下を防ぐ)
難しいのは、続けること
毛髪混入対策は、作業現場を管理する会社にも、そこで働く人にも、やるべきことはたくさんあることがお分かりいただけたかと思います。
すべての異物混入への対応に言えることですが、大切なのは「継続」です。一つ一つの対策は、正直、働いている人たちにとっては面倒で、できればやらずにおきたいことがほとんど。スタッフ全員がルールを守り続けるのは、そう簡単ではありません。
現場を管理する方々は、作業者に分かりやすい施策のルール化・マニュアル化をはじめ、実施状況の確認、定期的な教育訓練、状況に応じたルールの見直し・改善など、皆が前向きに毛髪混入対策を続けていけるような取り組みが必要です。
さらには、お互いに周りの人の服装に気を配り、注意し合える職場意識も大切。
毛髪混入は、チームワークで防ぐといった意識づくりが重要なのです。
まとめ
いかがでしたか?これまでも何度か取り上げてきた毛髪混入対策ですが、改めて整理すると、考えるべきこと、できることはたくさんあるんだなと思いました。
その中の一つとして、毛髪落下防止性能の高い「電石帽」が、多くの企業様に採用いただいています。
貴社でもぜひ、毛髪混入対策の一つとしてご検討ください!
【参考文献】
・WEBサイト
おまけ:髪は長~いお友だち
おうちで毎日ブラッシングするのも、毛髪混入対策になるんですね~。
つまり女子の皆さん、髪のブラッシングは、会社を異物混入のトラブルから救う力があるんですよ。
会社を守っているのは、皆さんなんです!(言いすぎ)
ブラッシングは抜け毛や汚れを払い落とすだけでなく、毛流れを整えて扱いやすくしたり、髪に潤いやツヤを与えたりする効果もあります。
でも、やりすぎると髪や頭皮を傷めてしまう可能性があります。起床時・シャンプー前・寝る前にやるのがオススメ。入浴後など濡れた髪のブラッシングはNGですよ。
髪をしっかりお手入れしてオシャレに決めて、今日もお仕事がんばりましょー!