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衛生帽子とは食品工場などの異物混入対策に欠かせない衛生帽子。異物混入トラブルの原因として非常に多く見られる「毛髪」が製品に落ちるのを防ぐ最も直接的で有効なアイテムであり、このコラムでも、衛生帽子にまつわる知識情報をたびたびご紹介してまいりました。
今回は過去の掲載内容も振り返りながら、衛生帽子の必要性や選び方のポイントなどを総まとめ的にご説明していきたいと思います。ぜひご参考になさってください。

衛生帽子とは

衛生帽子をかぶる職員衛生帽子(衛生キャップ)とは、その名の通り「衛生管理」を目的とした帽子のことです。基本的には業務用で、工場や店舗、倉庫などの室内で用いられます。通常の帽子のように日差しや悪天候から頭を守るためのものではありません。

衛生管理というのは、平たく言うと「人々の健康を守り、病気を防ぐための取り組み」という意味で、企業においては「労働者に対する衛生管理」と「消費者に対する衛生管理」があります。
労働者に対する衛生管理の具体例として「職場環境の衛生上の改善」や「救急用具の整備・点検」「健康診断の実施」などがあります。また、消費者に対する衛生管理は「施設・設備の清掃」「作業者の手洗い励行」「製品倉庫の厳密な温度管理」などがあります。

衛生帽子を着用することは、消費者に対する衛生管理に該当します。衛生帽子によって作業者の髪の毛やフケ、汗などが食品や清潔な環境に混入するのを防ぎ、製品の汚染リスクを減らし、それを食する、あるいは利用する消費者の健康障害リスクを抑えます。つまりは「異物混入対策」の一環です。

衛生帽子をかぶる目的

食品工場や薬品工場など、衛生面への配慮が求められる工場や職場では、作業服や衛生帽子の着用が義務付けられていることがほとんどです。上述の通り、衛生帽子をかぶる一番の目的はもちろん衛生管理(異物混入対策)にありますが、その他にも次のような目的があります。

作業者の安全

作業者の安全を守るのは、作業服や帽子の大切な役目です。衛生帽子の場合、工場などで髪の毛が機械や装置に巻き込まれるのを防ぐために着用することがあります。また、化学物質などの飛散から頭を保護するためにも使用されます。
私たちサンロードも、作業者の安全に配慮した衛生帽子を開発しておりご好評いただいています。

衛生帽子の安全性能について詳しくはこちらをご覧ください。

毛髪落下を防ぐだけじゃない?衛生帽子に求められるもう一つの機能「安全への配慮」

衛生的なイメージの維持

従業員が一様に清潔な衛生帽子を身に付けていると、その職場の衛生的なイメージを維持でき、顧客や利用者に対する信頼向上につながります。また帽子や作業服を清潔に保ち身だしなみを整えるよう徹底することで、従業員自身の衛生意識アップも期待できます。

従業員の区別

制服を着用する職場では、見た目では従業員一人一人の区別がつきづらくなるため、従業員の管理やオペレーションがしづらくなるケースがあります。その場合は衛生帽子の色を持ち場や職責によって変えたり、帽子にラインを付けたりすれば従業員の区別がつきやすくなります。
サンロードでも衛生帽子のオーダーメイドで頭周りや頭頂部のカラーリングに対応可能です。

衛生帽子の種類

衛生帽子には、頭髪に直接かぶせる「インナーキャップ」と、その外側にかぶせる「アウターキャップ」の2種類があります。またアウターキャップの形状を大きく分けると「フードタイプ」と「帽子タイプ」の2種類が一般的です。それぞれに特徴や適したシーンが違ってきますので、用途にあわせてお選びください。

インナーキャップ

インナーキャップインナーキャップはアウターキャップの下に着用するため、基本的に薄手の布やメッシュ、ネットでできています。頭髪全体を覆うようにかぶることで毛髪落下のリスクを低減します。
一般的なインナーキャップはヘアキャップのような袋状のものが多いですが、頭周りをベルトで安定させるタイプやフルフェイスタイプもあり、形状は様々です。

また頭髪に直接触れるインナーキャップは、その素材の性能が衛生帽子の毛髪キャッチ力に直結します。毛髪がからみやすい素材、帯電性のある素材(電気の力で毛髪を吸着させる)で作られたインナーキャップは、普通のキャップよりも毛髪落下防止効果を期待できるのは言うまでもありません。

アウターキャップ(フードタイプ)

アウターキャップ(フードタイプ)顔面を除く頭部(首から上)全体を布地ですっぽり覆うタイプの衛生帽子です。
毛髪が露出することがないため毛髪落下防止効果が高く、異物混入対策として非常によく使われています。

また、同じフードタイプの衛生帽子でも、ケープ(後頭部から肩周りを覆う大きな布)があるものと無いものの2種類に分かれます。
ケープは着用時に上着の襟元から中にしまいこむので、毛髪や体毛の落下を防ぐ効果がさらに高まります。ケープの着脱はマジックテープやスナップボタンで行うのが一般的ですが、フードとケープが一体化されたタイプもあり、これは頭の上からかぶって着用します。後者はより頭部の密閉性が高いです。
ケープの無いタイプは、ケープ付きより低コストで着脱も楽ですが、毛髪落下を防ぐ効果は劣ります。

アウターキャップ(帽子タイプ)

アウターキャップ(帽子タイプ)一般的な帽子・キャップに似た形状の衛生帽子です。つばが付いてあり、おでこからえりあしまでの頭部を覆います。
フードタイプに比べて軽量でスタイリッシュ。ケープがなく着脱も簡単で、頭を覆われる部分が少ないので着用感はフードタイプよりも快適です。量販店のバックヤードなどでの軽作業時や、おしゃれな服装が好まれる店舗などで多く利用されています。
その反面、頭部からの毛髪やフケの落下を防ぐ効果はあまり期待できません。食品工場のように異物混入対策が必要な環境には向かないといえます。

衛生帽子を選ぶポイント

衛生帽子の選び方職場で採用する衛生帽子を選ぶ時は、どのように考えていけば良いのでしょうか。
先ほど、衛生帽子を着用する目的についてご説明しましたが、いくつかの役割がある中で最も大事なものは何といっても異物混入対策、もっと言えば「毛髪混入対策」です。どれだけ頭部からの毛髪落下を食い止められるかが、衛生帽子を選ぶ最も重要なポイントだとまずは認識しておきましょう。

ところが、全ての従業員から出る抜け毛を1本残さず食い止めるのは、そう簡単なことではありません。人の髪の毛は毎日気づかないうちに結構な本数が抜け落ちるもので、別のコラムで触れていますが、1日あたり約55本抜けるといわれています。
抜け毛の本数についてはこちらで詳しくご説明しています。

健康な人の毛髪は、1日何本抜けているの?

では毛髪落下を防ぐ能力は何で決まるのかと言うと、私たちは次にご説明する「キャッチ力」と「着用感」の2つと考えています。

キャッチ力

キャッチ力とは、帽子の中の毛髪を外に落とさずキャッチする性能のことです。毛髪がからみやすい素材や、帯電性のある素材(静電気力により毛髪を吸着させる効果を持つ)で作られた衛生帽子は、普通の素材の帽子よりもキャッチ力が高くなります。もちろん素材だけでなく、前章でご説明した、帽子の形状・設計もキャッチ力に影響します

ちなみに、私たちサンロードの主力商品「電石帽」は、東レファインケミカルの電石不織布「トレミクロン」という素材を使っており、その毛髪吸着力の高さは各所で高い評価を頂いています。
以前のコラムで、素材の異なる他製品と毛髪キャッチ力の比較実験を行っていますのでご関心のある方はご覧ください。

【実験】帯電不織布キャップの毛髪吸着性能を比べてみた

また見逃しやすいのですが、頭部からは髪の毛だけでなく、眉毛やまつげも抜け落ちます。普通の衛生帽子でこれらをキャッチするのは難しいですが、当社では眉毛落下を防ぐよう設計された衛生帽子も製造しております。
ご関心のある方はこちらをご覧ください。

目につきにくい「眉毛」の混入はどう防ぐ?落下対策に効果的な新アイテムもご紹介!

着用感

着用感とは、帽子のかぶり心地のことです。「かぶり心地と毛髪落下防止と、何の関係が?」と思われる方があるかもしれませんが、着用感が悪いと、つい作業中に帽子を触ったり、いじったりしてしまいます。この時に帽子の中の毛が落ちたり、手についたりして毛髪混入のリスクを高めることになるのです
逆に、通気性や伸縮性に優れた素材を使用した衛生帽子は着用感が良く、暑さやムレ、締め付けといったストレスが少ないため結果的に毛髪落下のリスクを減らすことになります。

素材だけでなく帽子のサイズも着用感を左右します。大きすぎると締め付けがゆるくなり、毛髪の落ちる隙間ができやすくなりますが、逆に小さすぎると頭や首に圧迫感を与え、着用感が悪くなります。かぶる人の頭にできるだけフィットしたサイズの衛生帽子を選びたいところです。
ただ、一般販売されている衛生帽子の多くはサイズのバリエーションが少なく、フリーサイズ一択の製品も多いです。その点サンロードでは衛生帽子の規格を「S・M・L・LL」の4サイズ取り揃えており、カスタマイズにも対応しています。

衛生帽子の着用感についてはこちらのコラムにも詳しくご説明しています。

衛生キャップを選ぶ決め手は何?毛髪落下を防ぐためのポイントを解説

衛生帽子の着用方法

衛生帽子の着用衛生帽子による異物混入対策をより確かなものにするために、衛生管理に携わる方々にぜひ重視していただきたいのが、衛生帽子の「かぶり方」です。
どれほど性能の優れた衛生帽子を使っていても、いいかげんなかぶり方をして、髪が帽子からはみ出てしまったりしては何の効果もありません。たった1本でも大きなトラブルになりかねない毛髪混入。リスクを減らすためにできることは確実に実践しましょう。

衛生帽子が正しくかぶれているかどうか、作業者同士で確認し合うのはもちろん、現場で正しく着用されているか抜き打ちでチェックするのも良いかもしれません。貴社の実情に合った形で正しい着用を推進していただければと思います。

衛生帽子のかぶり方について、詳しくはこちらをご覧ください。

毛髪混入をなくすために要チェック!衛生キャップの正しいかぶり方を徹底解説

衛生帽子の洗濯方法

衛生帽子の洗濯最後は、衛生帽子の正しい洗濯方法についてです。
アウターキャップは常に清潔であるために、定期的に洗濯して使用することになります。また不織布生地の安価なインナーキャップはディスポーザブル(使い捨て)としているものが多いですが、数回の洗濯が可能なものもあります。
衛生帽子をこまめに丁寧に洗濯することは、異物を除去し衛生的な状態を保つというだけでなく、素材の機能性(帯電機能など)の劣化を遅らせるという効果もありますので、製品情報をよく確かめた上で、正しい手順・周期で洗濯を行ってください。

また衛生帽子のクリーニングを業者に依頼されている企業様も少なくないと思います。特に食品業界ではHACCP対応義務化もあって衛生管理への意識が高まっており、専門業者によるクリーニングが主流となっています。もしご家庭で洗濯される場合は、ぜひこちらのコラムをご参考になさってください。

食品工場などの衛生帽子の洗濯方法

まとめ

今回は衛生帽子に関する大切な知識をまとめてご紹介しました。改めて、衛生帽子が異物混入対策に欠かせないアイテムであることがお分かりいただけたかと思います。
過去のコラムのリンクもたくさん載せていますので、ぜひこの機会に読み直していただき、衛生帽子への理解を一層深めていただけるとうれしいです!

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