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工場や施設で起こる、代表的な異物混入トラブルのひとつ「毛髪混入」。このサイトでもたびたび取り上げている問題です。

髪の毛を頭から落とさないために欠かせないのが「衛生キャップ」です。皆さんの職場でもお使いかと思いますが、正しい方法で使われているでしょうか?
今回のコラムでは、衛生キャップのかぶり方について詳しくご説明したいと思います。

毛髪混入トラブルはいたるところで起きている!

人の毛髪は毎日少しずつ生え、そして抜けています。
以前の「お役立ちコラム」でもご紹介しましたが、人ひとりの1日の抜け毛はおよそ55本。例えば15人の従業員が1日8時間働いている食品工場だと、その中で1日275本もの抜け毛が発生している計算になります。製造や流通に人が関わる以上、こうした毛髪の発生は避けられず、それだけ毛髪混入のリスクも高くなるわけです。

健康な人の毛髪は、1日何本抜けているの?

実際、毛髪混入によるトラブルは後を絶ちません。
東京都福祉保健局の調べによると、平成30年度に寄せられた食品の苦情件数5,034件のうち、863件(17.1%)が異物混入によるもので、さらに異物混入の中でも、人毛(毛髪など)が原因なのは85件(9.8%)となっています。
名古屋市の同様の統計では、令和元年度の食品の苦情件数1,243件に対して異物混入は224件(18.0%)、そのうち毛髪が原因のものは19件(約8.5%)でした。
これらは保健所などの行政に申し出のあった件数ですから、実際はこの何倍も起きているのは間違いないでしょう。

髪の毛は、もともと人体にあるものです。仮に異物として混入してしまっても、寄生虫や菌などと違って、それが直接健康に悪影響を与えることは正直少ないと思います。
それでも毛髪混入にこれだけの苦情が寄せられるというのは、やはり心理的な影響が大きいからでしょう。食べ物に1本毛髪が入っているのを見ただけでも、イヤな気持ちになりますもんね。もう同じものは二度と食べない!という思いにさえなります。
さらには「○○○の商品に、髪の毛が入っていた!キモい」なんて写真付きでSNSに投稿されたら大変です。拡散されて尾ひれがついて、商品や会社のイメージダウンは必至。対応を誤れば、一気に社会的信用を失いかねません。

黄色ブドウ球菌

また、実は毛髪には食中毒の原因となる「黄色ブドウ球菌」が付着している可能性があります。この菌は健康な人でも鼻や髪の毛、皮膚などに2~4割の割合で保菌しており、毛髪そのものに毒性がなくても、抜け落ちた毛髪を介して菌が商品に移ってしまったら一大事です。
いずれにしても企業様としては、こうした毛髪混入への対策は必須課題といえます。

なぜ毛髪混入が起きるのか?

それでは、毛髪混入がなぜ起きてしまうのか?の原因を考えてみたいと思います。

作業前の対策が十分でない

まず基本的なことですが、作業に入る前には、外から毛髪を現場に持ち込まないための対策をしっかりと行う必要があります。

  • 粘着ローラー(コロコロ)を使って作業服に付いた毛髪を取る
  • ブラッシングをして抜けそうな髪の毛を落としておく
  • エアシャワーを通って作業場に入る
  • 作業着は毎日洗濯する(前日使った時の毛髪が残っている場合があるため)
  • 更衣室の床を粘着マットにする(床に落ちた毛髪が舞い上がって混入する場合があるため)
  • 作業着やキャップは定期的に新しいものに交換する(経時・洗濯によるゴムの伸び、生地の破損があるため)

こうした対策やルール設定を、を、多くの企業様ではすでに大なり小なり取り入れているかと思います。しかし、どれだけ厳しい対策をとったとしても、作業者一人ひとりが実践しなければ意味がありません。惰性や気のゆるみで対策が不十分となり、毛髪を持ち込んでしまうことのないよう注意しましょう。

衛生キャップやインナーネットが合っていない

毛髪混入リスクを避けたい工場などで作業する場合、ほぼすべての方が、毛髪を落とさないように衛生キャップやインナーネットを着用します。ですが、そのサイズまで気にされる方は意外と少ないようです。

サイズの大きすぎるキャップやインナーネットを着用していると、顔とキャップの間にわずかな隙間ができ、そこから毛髪が落下してしまいます。逆に小さすぎると、締め付けの不快感から無意識のうちに帽子に手をやってずらしたり、かいたりします。これも毛髪落下の原因です。
また、同じ帽子を長く使い続けたり洗濯を繰り返したりしていると、劣化やゴムのゆるみで顔との密着性が弱くなり、帽子と顔の隙間を作って髪の毛がはみ出してしまいます。

衛生キャップのサイズは自分の頭によりフィットしたものを選ぶとともに、劣化がないかも定期的に確認するようにしましょう。キャップ自体が隙間ができない仕様になっているとなお安心です。
※私たちサンロードの衛生キャップ「電石帽」「サニキャップ」は、サイズのラインアップを豊富にそろえており、さらにオーダーメイドにも対応しています。ご関心のある方はぜひチェックしてください!

衛生キャップを正しく着用していない

衛生キャップのかぶり方には正しい手順があります。自分の頭のサイズにぴったり合った衛生キャップでも、手順を守ってかぶらないと違和感が残ったりして、キャッチ効果を発揮できないことがあるんです。
「えっ、帽子のかぶり方?そんなの適当にやってるよ」ですって?いけませんいけません。作業員の中で一人でもそういう思いの方がいると、毛髪混入のリスクが高まります。そのトラブルの恐ろしさは十分お分かりのはず。リスクを少しでも減らすためにも、きちんとかぶって、毛髪落下を食い止めましょう。

これでバッチリ!衛生キャップの正しいかぶり方

お待たせしました!いよいよ本題です。
衛生キャップの正しいかぶり方を、写真付きでご説明していきます。

衛生キャップには、形状の異なるいくつかの種類があります。形の違いによって、かぶり方も少しずつ違ってきますのでご注意ください。
ここでは弊社の「電石帽」「サニキャップ」「クリーンネット」を使ってご説明しますが、同じタイプの製品であればかぶり方は同じです。

電石帽

サニキャップ

クリーンネット

※動画でも「衛生帽子のかぶり方」を詳しくご紹介しています!ぜひご覧ください。

※「電石帽」「サニキャップ」について詳しくはサンロードの公式サイトをご覧ください。

電石帽のかぶり方

①着用前に帽子をチェックし、毛髪が残っていないかを確認します。
ゴムの部分を両手で持って、親指と人差し指で広げます。

②そのまま持ち上げて親指側のゴムを額にあわせ、毛髪を包み込むようにかぶります。

③前髪やこめかみ、えりあし、うなじの毛髪を帽子の中に入れます。
 髪の毛のはみ出しがないように必ずチェックしてください。

④両耳は帽子をスッポリとかぶせ、外に出ないようにします。

⑤装着完了!

電石帽(ベルト付きタイプ)のかぶり方

頭周りと顔周りの2方向をベルトで覆うことで、帽子のズレや毛髪のはみ出しを防げるタイプです。

①着用前に帽子をチェックし、毛髪が残っていないかを確認します。
 ゴムの部分を両手で持って、親指と人差し指で広げます。

②そのまま持ち上げて毛髪を包み込むようにかぶります。


③あごのベルトを両手の親指にかけて、あごの下にまわします。
 両手でベルトの位置を整えて、顔とベルトがしっかり密着するようにします。

④えりあし、うなじの毛髪を帽子の中に入れます。

⑤装着完了!



サニキャップ(前合わせタイプ)のかぶり方

※このタイプの製品は、インナーキャップをかぶった状態で装着してください。

①着用前に帽子をチェックし、毛髪が残っていないかを確認します。

②サニキャップを両手で持ち、頭の上からかぶせます。
 毛髪は帽子の内側に入れて、外にはみ出さないようにしてください。


③襟元のマジックテープを首回りにあわせて留めます。


④サニキャップの裾が作業着の中に納まるように着ます。


⑤装着完了!



※あご下のマジックテープが外れたり、ゆるかったりしていないかご注意ください。

サニキャップ(かぶりタイプ)のかぶり方

※このタイプの製品は、インナーキャップをかぶった状態で装着してください。

①着用前に帽子をチェックし、毛髪が残っていないかを確認します。

②サニキャップを両手で持ち、頭を入れる部分を親指と人差し指で広げます。
 キャップの前側が手前(親指側)にくるように持ってください。


③そのまま持ち上げて手首を返し、頭からすっぽりかぶせます。

④あご部分のベルトをあご元まで深くかぶせます。
 インナーキャップのずれを直し、前髪やもみあげ、こめかみのはみ出した毛をキャップの中に入れます。


⑤サニキャップの裾が作業着の中に納まるように着ます。


⑥装着完了!



※サニキャップのフィットベルトはあご下できっちり留めるようにご注意ください。

メガネスリット付きキャップの使い方

衛生キャップの中には、メガネのつるを通すための「メガネスリット」がついた製品もあります。メガネをかけた状態でも顔と帽子の間に隙間ができず、毛髪落下のリスクを減らします。
メガネスリットの構造はキャップによって異なりますので、ご確認の上正しくご利用ください。


ディスポキャップ(シャワーキャップタイプ)のかぶり方

①着用前に帽子をチェックし、毛髪が残っていないか確認します。

②そのまま持ち上げて、親指側のゴムを額に合わせ、毛髪を包みこむように被ります。

③前髪やこめかみ、えりあし、うなじの毛髪を帽子の中に入れます。髪の毛のはみ出しがないように必ずチェックしてください。

④装着完了!

ディスポキャップ(ギャザーキャップタイプ)のかぶり方

①ギャザーの真ん中に親指を入れて、左右に広げます。

②そのまま持ち上げて、親指側のゴムを額に合わせ、毛髪を包みこむように被ります。

③前髪やこめかみ、えりあし、うなじの毛髪を帽子の中に入れます。髪の毛のはみ出しがないように必ずチェックしてください。

④装着完了!

ディスポキャップ(ヘアネットタイプ)のかぶり方

ヘアネットタイプのディスポキャップについて、弊社の「クリーンネット」では「立体形状タイプ」と「シャワーキャップ形状タイプ」の2種類があります。

立体形状タイプ

①着用前に帽子をチェックし、毛髪が残っていないか確認します。

②そのまま持ち上げて、親指側のゴムを額に合わせ、毛髪を包みこむように被ります。

③前髪やこめかみ、えりあし、うなじの毛髪を帽子の中に入れます。髪の毛のはみ出しがないように必ずチェックしてください。

④装着完了!

シャワーキャップ形状タイプ

①着用前に帽子をチェックし、毛髪が残っていないか確認します。

②そのまま持ち上げて、親指側のゴムを額に合わせ、毛髪を包みこむように被ります。

③前髪やこめかみ、えりあし、うなじの毛髪を帽子の中に入れます。髪の毛のはみ出しがないように必ずチェックしてください。

④装着完了!

正しくかぶれているか?の相互チェックは不可欠

ここまでご紹介した方法できちんとキャップをかぶれば、少なくとも頭から毛髪が落ちる危険はかなり少なくなるでしょう。

とはいえ、その正しいかぶり方をちゃんと実践できているか、ご本人自身ではなかなか分からないと思います。一緒に作業をする人同士がお互いに気を配り、確認・注意できるようにしたいものです。

・帽子から耳が出ていないか?

・こめかみ、もみあげ、えりあし部分で髪の毛がはみ出ていないか?

・顔回りに隙間や浮き部分がないか?

・帽子の前後は合っているか?

・電石帽とサニキャップがズレてしまっていないか?

こうした点を重点的に相互チェックして、毛髪落下ゼロを目指しましょう!
衛生帽子のかぶり方については、動画でも詳しくご紹介しています。
ここでご説明した内容がより分かりやすくなるので、あわせてご覧ください!

まとめ


今回は、いろいろなタイプの衛生キャップの正しいかぶり方をご紹介しました。どれもきちんとかぶれば、作業中の毛髪のはみ出しを防ぎ、毛髪混入のリスクを少なくすることができます。
ご自身のかぶり方を振り返って「できてないかも…」という方はぜひ、今回のコラムをご参考にしてくださいね♪
どうしても毛髪がはみ出しやすい人は、ベルト付きを着用したり、ヘアバンドの併用もご検討ください。

おまけ:粘着ローラーにも正しい使い方がある

「帽子のかぶり方」特集、いかがだったでしょうか。
今回のモデルになった某男子、パシャパシャ撮られているうちにテンションが上がってしまったのか、顔つきが完全にモデルモードに入っています。気になる方はぜひお問い合わせ…はやめてください。

さて、毛髪混入対策アイテムとして衛生キャップと同じく幅広く使われているのが「粘着ローラー」。皆さんの職場にもあるんじゃないでしょうか。
実はこの粘着ローラーにも、ちゃんと使い方があるんです。HACCP(ハサップ)のマニュアルによると、次の順番でかけるようすすめられています。

①頭:頭上、頭横、頭後ろとかける。
②肩:肩のあたりは入念に。
③肩から腕の先に向けて:脇の下から内側、外側もかける。
④胸から腹に
⑤背中:背中は鏡を見るか、二人でかける。
⑥腰から足の先に向けて:足の内側、外側、後ろ側もかける。

オレ流で適当にコロコロやっていても効果は上がりません。こちらに図入りで説明があるので、ぜひ実践を!
https://haccp.shokusan.or.jp/wp-content/uploads/2016/02/h25manual_2_5.pdf

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当社サンロードでは、作業者の頭から毛髪が落ちることによる異物混入トラブルを未然に防ぐ、さまざまな製品をご提供しています。

電石帽(でんしゃくぼう)

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東レ(株)開発の電石不織布・トレミクロンを使用した、毛髪落下防止用インナーキャップです。電気分極を持った超極細繊維の不織布が、電気の力で毛髪やホコリ、細菌などをしっかり吸着・捕集。着用感も抜群です。

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