異物混入ラボ | 対策・防止方法を本気で考える情報サイト

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私たちサンロードの異物混入対策製品は、特に食品工場の現場で非常に多くお使いいただいています。
今回は、大手メーカーほか複数の食品工場で製品の品質管理に長年携わってこられたプロの方からお話をうかがいました。当社の製品は「毛髪混入」の対策製品が中心ですが、今回はそれだけでなく、豊富なご経験をもとに広い範囲で食品工場ならではの異物混入問題について詳しく教えていただきました。
異物混入対策にご関心のある方はぜひご覧くださいね!

毛髪混入対策には地道な取り組みが一番

──本日はよろしくお願いいたします。
  これまで様々な食品工場を見てこられてご経験された中で、異物混入の原因として最も多かったのは何でしょうか?

異物混入の原因として多いのは、やっぱり毛髪だと思います。例えばお弁当の製造工場のように、盛付けなど人手による作業の工程がある場所が多い工場だと、どうしても毛髪混入は出てきますね。
逆に、人が作業する場所は密閉状態で、製品は配管で流れていてオープンになった部分がない、といった工場だと毛髪混入は起こりにくくなります。

──毛髪混入を減らすために対策されたエピソードや経験談を教えてください。

結局は地道な取り組みだと思います。
毛髪が落ちないような作りの衛生帽子を選ぶというのも大事ですし、それとローラー掛け。これは本人はやっているつもりでも、意外とできていません。ちゃんと鏡を見て全身くまなく掛けるというのも、服の生地を引っ張って伸ばして掛けるというのもやれていない。「ローラーは○○秒掛ける」と時間を決めることもありましたが、そうすると「○○秒」という時間だけを見て、逆に丁寧にやらなくなってしまう。

その他にも、例えば24時間稼働の交代シフト勤務だと、日勤の人と夜勤の人が交代するタイミングできちんとローラーを掛けられているか確認が必要ですし、エアシャワーの中の粘着シートがちゃんと使われているかのモニタリングとか、一つ一つ見ていかないと難しいですね。
その確認も、現場に人が立ってチェックすることもあれば、抜き打ちで時間を決めてチェックすることもあります。

そこまでやっても、異物混入ゼロになるのは難しい。どうしても何百人もいる工場だと、8割、9割守れていても、1割がルールを守れていないとクレームになる。だから一人ひとり指導をしていかねばなりません。

野菜のカット不良も「異物」?

──どのような業種にも異物混入防止の課題はありますが、特に「食品工場ならでは」という事例をお聞かせください。

これは異物と言っていいのか分かりませんが、野菜や肉、卵といった農産原料が異物のように感じられる場合があります。
例えば野菜だと、生育不良などのために変色した野菜が異物のように見られるケースもありますし、カット野菜のカットが大きすぎたのを異物と言われることもあります。もちろんカットするサイズは規格で決められていたりしますが、玉ねぎの薄皮とか切りづらいものだと、カット不良が起きることも珍しくありません。

商品によっても違います。野菜のカット不良でも、一般のお弁当や惣菜に出しているぶんには問題になりませんが、ベビーフードとか小さいお子様の食べるものだと、保護者の皆様の意識も高いので、異物と同等と考えて入念に検査したりします。飲み込みづらさを考慮して、具材が硬くなりすぎない配合調整や硬さの確認までしているメーカーさんもあります。

──気持ちよく、おいしくお食事される消費者に、十分に気をつけてらっしゃるのですね。踏み込んだ質問ですみませんが、不良対策の取り組みをお聞きかせください。

カット不良の対策としては、切り方を統一したり、カットする人を限定して教育したり、正しい切り方を継続できているか定期的に確認したり、といった地道な取り組みしかないですね。同じ人には同じ作業だけをさせられれば良いのかもしれませんが、なかなかそうはいかない。

あと原料を調達する段階でいうと、ニンジンなどの根物は木化して固くなってしまうと異物と見なされることがあるため、大手メーカーだと木化しにくい品種を選んで調達することもあります。他にも「いつもより葉に虫が多くついている」「いつもより腐っているのが多く入っている」など、何かいつもと違う状態があればフィードバックできる管理体制を取っています。上流で抑えるのが一番早いという考え方ですね。

原料メーカーとの協力体制も必要

──野菜の事例について教えていただきましたが、肉や魚の異物混入の事例についてもあれば、お聞かせください。

食肉の異物混入では、薄い骨とか鶏肉の骨などが取り切れずに混入していることがありました。鳥の骨は軽いので、X線では分かりづらいんです。だから検査としては難しい部類になります。そうなるとやっぱり触診で見るしかない。原料メーカーさんで処理する時にしっかり見てもらうのが、早いのは早いですね。
クレームが出ても「これは鳥の骨だ」というのはすぐ分かるので、原料メーカーに投げかけて解体作業や触診検査をされている方にフィードバックします。だから加工工場で異物混入を抑えるというよりは、メーカーの管理をしっかりするのが大事だと思います。
また、例えば自社のホームページに「お客様相談室」のような形でいろいろなトラブル事例を紹介して、お客様に安心を持ってもらうといった取り組みも必要だと思います。

袋や容器も、異物混入トラブルのきっかけに

──食品由来の「異物」について事例をいくつか教えていただきました。食品由来でないものだと、毛髪以外にはどんな事例があるでしょうか。

食品の原料は袋体で工場に入ってくることが多いので、作業時に袋のカット片みたいのが混入してしまう可能性があります。

──あー、それは入っていたらちょっとイヤかも。どのような対策をされているんでしょうか?

一つの対策としては、色付きのポリ袋を使うようにして、たとえ切れ端が混入してしまっても目視で分かるようにするという方法があります。透明の袋だと見えづらいので。また、カットの切れ端が床に落ちていたりすると、それはそもそも正しい方法で切られていないということなので、そういうのもチェックするようにしています。

袋のカットということでは、切り方を統一してミスを防ぐようにもします。原料の袋にはいろいろな種類があって、開けやすいもの、真空パックのもの、デコボコしていて切りづらいものもある。それぞれ「こう切ってくれ」と言うんですが、それを守れているかどうかは定期的に確認しないと。まずは教育して作業を限定する。限定した上で、一つ一つできているかを確認する。対策といっても、現場の方が忙しい中でもあるので、そんなに派手なことはやっていません。

──なるほど、ここでもやっぱり教育が大事なんですね。

「食品ならではの難しさ」とは

──これまでのご経験を通じて、クレームのご対応で一番難しいと感じられたことをお聞かせください。

食品工場ならではの難しさとして私が思うのは、異物混入が発見された時に商品を「開封できない」という点です。

加工食品の多くは、袋や容器、ボトルに入っていたり、レトルト殺菌して密封されていたりします。こうした製品は、一度開封してしまうともう製品にはなりません。自動車や家電製品でリコールがあった場合、問題のあった型式を検査して原因を調べられますが、食品だと、そうはいかないのです。

──なるほど、確かに…。

ある製品に異物混入が発見された。同じ製品の在庫が10000個あり、この中に異物混入があるかもしれない。こうした状況で、一個一個開封して中を確かめられれば良いのですが、それはできませんよね。全部処分するのが一番楽な方法なんですが、それでは会社は成り立ちません。特に近年はフードロスの問題も社会的に言われていますので。ではどうするのか、という判断が非常に難しいと感じています。

私は品質保証という立場でやってきたので、もちろん全てを一人で判断するわけではありませんが、ある程度判断しなければならないのは確かです。どこまで調べればOKと言えるのか、そこは問題の大小にかかわらず、ずっと悩んでいます。

時代や社会の変化と向き合う

──最後は抽象的な質問になりますが、将来の異物混入対策への向き合い方について、お考えのところをお聞かせください。

近年は、高性能カメラや進歩したAI技術を用いて異物混入を発見する装置もあります。人件費削減にもなりますし、これから機械の入る領域が増えるというのはあるかもしれません。でも人が少なくなるとサンロードさんのお仕事が減ってしまうかも(笑)
ただ、機械化されてもメンテナンスする人は必要ですし、やっぱりカメラで見つけられるものにも限界はありますので、全てを機械でというのは難しいでしょうね。
私たちの間では「五感で確認せよ」とよく言われるのですが、目視だけでなく触感や異臭、異音がしないかも含めた、人間によるチェックが大事であるのは今後も変わらないと思います。

──やっぱり最後は人間力が大事、ということですね。
  本日は色々なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!

まとめ

いかがでしたか?
食べ物は何か問題があると健康被害のリスクもありますし、消費者の異物混入への意識も高いものです。それを作る工場では他にない色々な問題があるんだなと改めて知らされ、勉強になりました。
また「異物混入対策には地道な取り組みが不可欠」といった、食品だけでなくあらゆる工場や製造現場に通じるお話もたくさん教えていただきました。
リクエストがあれば他業種の工場にも取材に行きたいと思いますので、よろしくお願いします!

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