職場の異物混入対策には様々な方法があります。建物の中でどれくらいの人たちが働いているか、動線計画、物の搬入出、空調・換気はどう行われているかなど、職場環境によって適した対策が必要です。
特にキャパシティの大きい工場やクリーンルームは、人と物の出入りが多く、それだけ異物混入のリスクも高まります。実は、こうした建物での異物混入対策にピッタリのアイテムがあるんです。
空調機が異物混入の原因になっているの?
食品工場やクリーンルームに、異物が持ち込まれてしまうルートは様々です。そこを出入りする人の体にくっついて持ち込まれたり、工場内で利用される材料や資材に入っていたり。また人由来の異物(毛髪や皮膚など)は外から持ち込まれるのではなく、作業現場の中で発生します。
そして作業現場には必要不可欠の「空調機」も、異物が持ち込まれる経路の一つです。
空調機が中に取り込んだ空気には、目に見えない汚れや粉塵が含まれています。空調機を長期間使っていると、この塵や汚れが本体やダクトの中に堆積し、やがて室内に吹き出すのです。まさに「塵も積もれば…」ですね。
堆積したほこりは、それ自身が異物となるだけでなく、カビや細菌などの温床にもなってしまいます。本体やダクト内で繁殖したカビや菌が空調を通して室内に侵入し、これも異物混入の原因となります。
空調機は快適な職場環境のために欠かせないもの。建物が大規模になるほど、設置される空調機は多くなります。だからこそ、しっかりと対策をしておかねば大きなトラブルを引き起こしてしまうでしょう。
※空調機からの異物混入についてより詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
空調用フィルターが異物混入を防ぐ!
空調機はその構造上、異物の原因物質を内部に取り込んでしまうのは避けられません。私たちができるのは、その異物を可能な限り、作業現場の空気中に放出させないための対策になります。
これに欠かせないものが「空調用フィルター(エアフィルター)」です。
空調用フィルターは、グラスファイバー紙などの「ろ材」が仕組まれたユニットになっており、空調機に設置することで内部を通る空気をろ過し、空気中の塵・ほこりなどの汚染物質や微粒子をキャッチしてくれます。
空調用フィルターには次のように複数の種類があり、使われているろ材や異物の捕集性能が異なります。
どのフィルターも、適切なメンテナンスや交換を行ってこそ、確かな集塵性能を発揮して異物の発生を抑えてくれます。お使いの空調機のエアフィルターがきちんとメンテされているか確認しておきましょう。
ULPAフィルター
「ウルパフィルター」と読みます。非常に性能の高いエアフィルターで、具体的には、「粒径が0.15µmの粒子を99.9995%以上捕集する」性能を持っています。
※µm(マイクロメートル)=1,000mm
半導体工場のような非常に高い清浄度が求められるクリーンルームで使用されます。集塵効果を高めるためにフィルターの繊維密度が高く、また空気抵抗を抑えるためにフィルターの濾材が薄く作られているため、強度が弱いのがデメリットです。
HEPAフィルター
「ヘパフィルター」と読みます。ULPAフィルターほどではありませんが、性能の高いエアフィルターです。「粒径が0.3µmの粒子を99.97%以上捕集する」性能を持っています。
クリーンルームの空調機器や製造機器をはじめ、家庭用の空気清浄機やエアコン、掃除機のハイエンド機種など、幅広い用途に使われている比較的身近な製品です。「HEPAフィルター」の名前は聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。
中性能フィルター
ビルや工場、病院などあらゆる産業分野で広く用いられている、ビル管理法に基づいた空調用フィルターです。「MEPAフィルター」とも呼ばれ、「0.4・0.7µmnの粒子を50~95%以上捕集する」性能を持っています。
プレフィルター(後述)では取り除ききれない細かい塵埃や花粉などを捕集でき、また補集効率に比べて圧力損失が低いのも特徴です。HEPAフィルターの前処理用としても使用されます。
粗じん用フィルター(プレフィルター)
空調用エアフィルターの中でも、比較的大きな粗じん(5µm以上の粒子)を除去するためのフィルターです。「プレフィルター」の名前の通り、主フィルタの上流(手前)に設けて、後に続く中性能フィルターやHEPAフィルターの効果を長時間保つために使用されます。ビル・工場はじめ様々な場所で汎用的に使われるフィルターです。
空調機からの異物を防ぐ、もう一つの選択肢とは
空調用フィルターは、空調機から出る冷気・暖気を清浄にし、異物発生のリスクを少なくしてくれます。しかし空調用フィルターだけで塵やホコリの発生を100%シャットアウトできるわけではありません。上述したように定期的なメンテナンスも大切ですし、フィルターの他にも防御策があれば、より安心です。
そこで今回、特に皆様にオススメしたい空調機の異物混入対策アイテムが「ソックダクト」です。
ソックダクトという名前を初めて聞かれる方もあるかもしれませんので、百聞は一見に如かず、まずは写真をご覧いただきましょう。
パイプのように細長い袋が、天井に取り付けられていますよね。これがソックダクトです。中には空調機から吹き出した適温の空気が通っており、ソックダクトの元は空調機の吹出口につながっています。その形状が靴下(sock)のようであることから、ソックダクトの名前がついたと思われます。
一般に空調ダクトは鋼板で作られており、所々に設けられた吹出口からのみ風が吹き出します。
一方でソックダクトは、布や不織布など通気性のある素材で作られているため、素材自体にある程度の通気性があります。ダクトの表面全体から、中の空気が緩やかに吹き出して、部屋を広範囲にわたって温めたり冷やしたりすることができる仕組みです。
さらにソックダクトは、それ自体がある程度のフィルターとなるため、空気は通しつつ塵やホコリ・虫などは通さないようになっています。
他の空調用フィルターは空調機の内部に取り付けるのに対して、ソックダクトは空調機の外、吹出口に設置します。空調機内のフィルターと、ソックダクトの2重の効果で、異物が外に出るリスクを強力に抑えられるわけです。
ソックダクトのメリットとデメリット
ソックダクトは、近年、大規模な食品工場やクリーンルームなどの空調設備として注目されています。その理由は、特に大きな作業空間で見られた、従来の空調の問題を解消する様々なメリットがソックダクトにはあるからです。
一方、デメリットもありますのでソックダクトの長所と短所をよく理解した上で導入をご検討ください。
ソックダクトのメリット
風による不快感や悪影響を解消
エアコンの吹出口から出てくる風が、顔や体に直接当たるのが嫌だという方は結構多いんじゃないでしょうか?体感温度の差が激しいですし、お肌の乾燥も招きます。特にスペースの広い工場などで全体に空調を効かせようとすると風の吹き出しも強くなってしまいがちです。
ソックダクトは一般の空調機やエアコンのような吹出口を持たず、ダクト全体から緩やかに風を放出する仕組みです。そのため人に直接風が当たる不快感がなく、体感温度も改善され快適な作業環境が生まれます。
また、室内にある製品の表面乾燥や粉塵の舞い上がりも抑えられるので、特に食品工場や印刷工場などで活用されています。
温度ムラが出にくい
一般の空調機では、吹出口周辺とそれ以外の場所で「効き」に大きな差ができます。同じ部屋の中でも「効き過ぎ」と感じる人と「効かない」と感じる人がいるのは珍しくありません。部屋が広くなるほど、こうした問題は顕著になります。
ソックダクトは、設置しているすべての場所で同じ空気をほぼ同圧で放出しますので、場所による温度ムラがあまりありません。
メンテナンスが容易
先ほど、フィルターはメンテナンスが大事だと申しましたが、一般の空調用フィルターは空調機の内部の設置されています。これを定期的に取り外して掃除して、というのは普通なかなかできるものではありません。多数の空調設備を導入している、大規模な工場やクリーンルームだとなおさらです。
一方、ソックダクトは吹出口の外から付け外しができますのでメンテナンスや交換がとても簡単です。
ソックダクトのデメリット
暖房時は部屋が温まりにくい
ソックダクトはその形状から、基本的に天井に設置して使います。そのため冬の暖房時においては、ダクトから放出した温かい空気が天井にたまってしまい、部屋全体を温めるのに時間がかかるのがデメリットです。
冬期に使用する場合は早めに空調を稼働させる必要があるでしょう。
空調の強い風が欲しいケースには不向き
ソックダクトは空調時に不快な風を発しないのがメリットですが、逆に、強い空調の風が必要な時にはデメリットとなります。
例えば夏の非常に暑い室内で、風を体に受けて体感温度を下げたい場合などは、ソックダクトは不向きです。
捕集力の高い「電石サニフィルター」で異物混入対策
ソックダクトは、従来の空調機にあったデメリットを解消し、快適な室内環境づくりと異物混入防止にも効果的な優れた製品です。
そして、ソックダクトの優れた特長を持ちながら、異物混入を防ぐ能力をさらにパワーアップさせたのが、私たちサンロードの「電石サニフィルター」です!
「電石サニフィルター」の秘密は、その素材にあります。
東レ株式会社が開発した電石不織布「トレミクロン®」を使用。繊維の一本一本が電石の力を持つこの生地は、表面に強力な電界を形成して、空調機の風に含まれる塵やホコリ、細菌やカビなどの異物を強力に吸着・捕集します。
その性能は、データからも明らかです。花粉やカビ程度の粒径では99.9%以上をキャッチ。0.3~0.5µmといった微細な粒子でも98.2%以上という優れた捕集能力を示しています。
また、換気によって短時間で浮遊菌(空気中に浮遊している細菌やウイルス)を減らせる効果も確認されています。
もちろん通気性はしっかり維持しており、ダクトの隅々までまんべんなく、穏やかで温度ムラのない風を吹き出してくれます。
さらに詳しい性能を知りたい方は、ぜひ公式サイトをご覧ください!
異物混入対策だけでなく、「電石サニフィルター」の素晴らしい性能を裏付ける様々な実験結果などをご紹介しています。
https://www.sunroad-nara.co.jp/product/sanifilter/
まとめ
いかがでしたか?
今回は異物混入の問題を空調機に注目して、ソックダクトという便利なアイテムについてご紹介しました。
塵やホコリの発生を抑えるだけでなく、部屋の空調も快適にしてくれるスグレモノ。「そんなもの今まで知らなかった!」という方はぜひ、これを機会に導入をご検討ください♪
おまけ:エアコンのフィルター掃除も定期的に
皆さん、お部屋のエアコンのフィルター掃除、ちゃんとやってますか?
長い間フィルターを掃除しないと、エアコンの中でカビ菌が繁殖して室内に吐き出され、病気を引き起こす恐れがあるんだとか。コワイですねぇ。
それにフィルターが目詰まりすると、空気の循環効率が下がってエアコンの効きが悪くなり、電力もよけいに消費するようになります。
フィルター掃除と聞くとめっちゃ面倒くさい感じがしますが、やってみたら本当に簡単ですよ。
カバーを開けて掃除機かけて、フィルターをはずして掃除機&水洗い。乾いたら元通りにセットして、はい完了。
慣れれば10分くらいでできちゃいます。(乾かす時間を除く)
というわけで、健康のためにも、家計のためにも、フィルターは定期的に掃除しましょう!