異物混入ラボ | 異物混入対策を本気で考える情報サイト

今、新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっているのはご存知の通りです。
ウイルスは人体にとってまぎれもない「異物」であり、異物混入対策を研究している私たちにとっても、その存在は決して無関係ではありません。

一般的には、ウイルスの感染拡大にマスクが効果的だとされていますが、そもそもマスクって、何をどれくらい防ぐ効果があるのでしょうか?

そこで今回のテーマは、衛生マスクのフィルター機能についてです。
当社サンロードでも衛生マスクは主要アイテムの一つですので、専門的な話も交えてご説明していきたいと思います!

マスクについての基礎知識

「マスクって何か知ってる?」なんて聞くと、当たり前だよ!と怒られちゃうかもしれませんが、その種類や性質を詳しく知っているかとなると、どうでしょうか。マスクのフィルター機能について知る前に、まず基本的なところを押さえておきましょう。

マスクの種類

現在使われているマスクを用途別に分けると「家庭用」「医療用」「産業用」の3つがあります。

家庭用マスク

風邪や花粉症、インフルエンザなどの対策として日常的に使われるマスクです。薬局やスーパーなどで簡単に手に入り、皆さんが普段もっとも身近に使っているマスクだと思います。
粉塵の侵入や、せき・くしゃみによる飛沫(ひまつ)の拡散を防ぐ他、気管や気管支の乾燥防止、保湿や保温、防寒のためにも役立ちます。
フィルター性能と通気性のバランスが良く、長時間快適に使えるのも特徴です。

医療用マスク

主に医療機関の現場で使われる感染防止用マスクで、主に「サージカルマスク」と「N95マスク」の2つがあります。
サージカルマスクは、着用者の飛沫の拡散を防ぎ、また患者の体液や血液を介しての感染体から着用者を守ります。ちなみにサージカルとは「外科的な」という意味です。
「N95マスク」は外気中にあるウイルスや細菌から着用者への感染を防ぐもので、より密着性の高い構造になっています。

産業用マスク

主に工場や建築物の解体現場で、粉塵やアスベストなどの吸入を防ぐためのマスクです。「防じんマスク」と呼ばれることもあります。
「使い捨て式」と「フィルター取替え式」の2種類があり、さらに粉塵の量や性質によっても細かく分類されています。

一般的な家庭用マスクの構造

このようにマスクにはいろいろな種類があるんですが、実際に私たちが日頃使うのは、ほとんど「家庭用マスク」だと思います。
家庭用マスクは、その形によってさらに「平型」「プリーツ型」「立体型」の3つに分けられます。それぞれ付け心地や密着性などが違いますので、マスクを使う目的に応じて選ぶと良いですね。
※写真は一般社団法人日本衛生材料工業連合会ホームページより

平型

平板な長方形のマスクの両サイドにゴムを付けたものです。以前は、マスクといえばこの形でした。
保湿性や保温性が高いですが、他の形状に比べると若干息苦しさやしゃべりにくさがあるかも。
また綿織物で作られているので長く装着しても肌に優しいのも特徴です。

プリーツ型

口を覆う部分の全面がプリーツ(折りひだ)になっている、今一番ポピュラーなタイプのマスクです。
プリーツを上下に広げて装着するので顔にフィットしやすく、圧迫感を与えません。口の動きにも柔軟に対応するので会話や呼吸をしやすいのもメリット。

立体型

人の顔の形に合わせて作られたマスクです。プリーツ型よりもさらにフィット感が高く、密着・密閉性という点では最も高性能なマスクといえます。
口元にしっかり隙間ができるので呼吸もしやすいし、女性の方は口紅がつく心配が少ないのもポイント高いです。他の形状よりも若干高価なのが玉にキズ。

家庭用マスクの素材

家庭用マスクに使われている素材には、大きく「ガーゼタイプ」と「不織布タイプ」の2つがあります。
一般的に、花粉や飛沫などの小さな粒子を防ぐ能力は、ガーゼよりも不織布のほうが優れています。

ガーゼ

柔らかい綿製の生地で、ほど良い保湿性と吸湿性があるのが特徴です。近年は中に特殊なフィルタを縫い込んで花粉などの捕集効果を高めた商品も増えています。肌触りの良さや洗濯して繰り返し使えるなどのメリットもあります。
そういえば今回のコロナウイルス問題があって、ガーゼマスクを手作りする人が増えたそうですね。

不織布

不織布は、読んで字のごとく「織っていない布」です。細い繊維や糸をランダムに集積し、化学的に結合させたり機械的に絡ませたりして作られています。
不織布は通気性やろ過性・保温性を持っており、また細かい繊維が絡み合う構造から粒子捕集性に優れています。以前は医療用マスクの素材として一般的でしたが、現在は家庭用マスク総生産数の9割以上は不織布製が占めているそうです(全国マスク工業会調べ)。

マスクのフィルター性能は何で決まるのか

それでは本題の、マスクのフィルター性能について見ていきましょう。
マスクの基本性能は何で決まるのかというと、「フィルター部の捕集(ろ過)効率」と「形状」の2つの要素があります。

捕集(ろ過)効率

捕集(ろ過)効率とは、簡単に言えば「そのマスクで何%の粒子を捕集できるか」を表す数値です。
よく家庭用マスクのパッケージに「○○.○%」といった数値が大きく書かれているのがありますが、あれですね。

具体的には、そのマスクに使われているフィルターについて捕集(ろ過)効率測定試験を行い、次の式によって導かれる数値となります。

捕集(ろ過)効率(%)=(1-フィルターより下流側の粒子数÷フィルターより上流側の粒子数)×100

もちろん数字が大きいほど(100%に近いほど)そのフィルター能力は高いといえます。
また同じフィルターでも、粒子の大きさによって捕集効率は異なります。一般に、粒子の大きさが0.15μm付近の時にフィルターの捕集効率は最も低くなり、これよりも大きく、または小さくなるほど捕集効率は高くなることが分かっています。

公的な機関が実施している、マスクのフィルター性能を評価する捕集(ろ過)測定試験には次の方法があります。

  • BFE(バクテリア飛沫捕集(ろ過)効率):細菌を含む粒子(約3μm)を捕集できた割合
  • VFE(ウイルス飛沫捕集(ろ過)効率):0.1~5.0μmの粒子を捕集できた割合
  • PFE(微粒子捕集(ろ過)効率):0.1μmの粒子を捕集できた割合

ちなみに、飛沫の大きさは約5μm、人の細胞は約10μm、花粉は約30μmです。大気汚染問題となっている「PM2.5」は、名前の通り2.5μm以下の粒子を指します。
どんな粉塵や粒子への対策を行いたいのかを踏まえて、適したマスクをお使いください。

形状

捕集(ろ過)効率は、あくまでもフィルター自体の性能を示したものです。同じフィルターを使っていても、マスクの形状や使用方法によっても実際の効果は違ってくることを知っておいてください。

マスクの形状は、基本は先ほどご紹介した3種類(平型・プリーツ型・立体型)になりますが、その中で各メーカーがそれぞれに工夫されています。
ポイントは、いかに顔に密着させ、フィルター部以外からの侵入を防ぐか(隙間をなくすか)。いくらフィルターの性能が良くても、マスクの脇がスカスカだったら、隙間から細菌もウイルスも入り放題ですからね。

そうして綿密に設計されたマスクを正しい方法で装着すれば、マスク本来のフィルター効果をいかんなく発揮できます。逆にいいかげんに付けているとマスクが顔にフィットせず、異物の侵入を許してしまうことになりますのでご注意を!

なぜ「電石マスク」はフィルター性能が高いのか?

当ラボを運営する株式会社サンロードが製造・販売している「電石マスク」は、非常に高いフィルター性能を誇る衛生マスクとして各方面から高い評価を頂いています。
手前みそではありますが、その秘密に迫ってみたいと思います!

不織布の素材がスゴい

「電石マスク」は、見た目には普通のプリーツ型の不織布マスクと変わりません。
ではどこに高いフィルター性能の理由があるのかというと、ずばり「素材」です!

一口に不織布といっても、じつはその原料となる繊維にはいろいろあります。
マスクに使われるのはポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨンなどの化学繊維が多いですが、綿や麻、パルプなどの天然繊維でできた不織布もあります。

そして電石マスクに使われているのは、「トレミクロン®」という不織布です。
トレミクロン®は東レ株式会社が独自開発した製品で、ポリプロピレン製の特殊極細繊維で構成されています。この繊維の細さはなんと約2μm(髪の毛の太さは50μm)。1gの繊維で350kmもの距離を結ぶほどの細さです。繊維が細いほど不織布のフィルター機能は高くなり、より小さな粒子を捕集できます。

さらに、この極細繊維の1本1本に、特殊な方法でエレクトレット(電石)化することで高い表面電荷を持たせ、微粒子の吸着力を格段に向上させることに成功したのが「トレミクロン®」なのです。

「電石」は磁石のようなもの

電石というのは、それ単体で半永久的に「電界」を作る物質のことをいいます。
電界には静電気力(クーロン力)という力が発生しており、この力は、軽い物体に対してマグネットのように引き付ける作用があります。
皆さんも小さい頃、やったことありますよね?下敷きをゴシゴシこすって頭にかざすと、髪の毛がスーッと逆立って下敷きにくっつく遊び。あれも静電気力を利用したものです。
違うのは、下敷きの静電気はしばらくすると失われますが、電石は常に静電気を持っている状態だという点です。

ちょうど磁石のようなものとイメージしていただけば分かりやすいかと思います。
磁石が常に磁界を発生して鉄類を吸着するように、トレミクロン®の電石は常に電界を発生して、花粉や飛沫ウイルス、細菌などの微粒子を吸着します。

電石マスクのハイレベルな捕集性能

電石マスクの素材であるトレミクロン®は、繊維の一本一本が電石化されており、微粒子を吸着する静電気力を持っています。
右の写真は、一般的な繊維とトレミクロン®を拡大したものです。トレミクロン®の表面には細かい微粒子がビッシリくっついていますよね!

繊維そのものの物理的な捕集作用と、電気的な捕集作用のダブル効果で、強力なフィルター能力を実現しているサンロードの「電石マスク」。そのフィルターの捕集効率を、一般財団法人カケンテストセンターにより測定した結果が次の表です。

※吸引量:2.83リットル/min、風速:5.2cm/sec
※0.3μm未満の微小粒子状物質については、捕集の確認ができていません。
※このデータはフィルター単体での捕集性能であり、捕集性能を保証するものではありません。

花粉や飛沫ウイルスといった微細な粒子を高いレベルで捕集できていることがお分かりいただけると思います。

なお、マスクのフィルター性能がどれだけ優れていても、マスクの使用方法や装着方法によって捕集効率は違ってきます。正しい使い方をしてこそ性能を発揮できるということです。

マスクに大切なもう一つの要素とは?

捕集性能が高いだけでは片手落ち

ここまで電石マスクの、捕集作用についてご説明してきましたが、マスクというものは、ただ粒子を通さなければ良いというものではありません。

極端な話、究極に微粒子を通さないマスクを作ろうと思えば、全く隙間のない(空気を通さない)素材を使えば良いわけです。でも、そんなマスク使ったら、息できませんよね(笑)
良いマスクというのは、高い捕集効率を維持しながら、「呼吸しやすい」という点にも優れている必要があります。

マスクの呼吸のしやすさというのは、実はウイルス対策にも関係してきます。
人の呼吸の仕方には口呼吸と鼻呼吸がありますが、ウイルス感染のリスク対策という面では、鼻呼吸のほうが非常にメリットが大きいとされているのです。

  • 鼻毛でほこりやちりをブロックできる
  • 鼻の粘膜から出る粘液がウイルスをからめ取る
  • 鼻の中で吸気の温度・湿度を高めウイルスの生存率を低下(口呼吸では乾燥した冷たい空気が直接肺に取り込まれる)

でもマスクが息苦しいと、鼻呼吸では「吸う・吐く」が十分にできず、口呼吸に頼ってしまいがちになります。その意味でも、より鼻呼吸がしやすい、息苦しくないマスクを選びましょう。

捕集性能と通気量の両方が優れた電石マスク

マスクを装着した時の呼吸のしやすさ、つまり「通気性の良さ」も大切な要素です。
また通気量が低いと、呼吸がしにくいだけでなく、マスクの横側や下にできる隙間からの呼吸気の出入りが多くなってしまいます。これでは、いくらマスクのフィルター機能が高くても意味がありません。この通気性の良さを表す指標を専門的には「圧力損失」といいます。

「電石マスク」は捕集効率が高いだけでなく、圧力損失が低く、通気量においても優秀な性能を持っています。
こちらのデータをご覧ください。

これは、当社の電石マスクと他社品A~Dとで通気量を比較したデータです。

5つのマスクは全てBFE(バクテリア飛沫捕集(ろ過)効率)は95%以上となっており、捕集効率の面では遜色ありません。しかし同じ捕集効率でも、通気量には大きな違いがあるのがお分かりいただけるかと思います。

まとめ

マスクの一般的な特徴から、「フィルター機能」という点に特に注目してみました。
マスクの性能を評価するには、「ほこりや飛沫の侵入を防げる」ことももちろん大切ですが、それだけではなく「使いやすい・呼吸しやすい」という点も決して見逃せません。
職場でお使いのマスクを選ばれる際は、今回の内容をぜひご参考にしてくださいね。

おまけ:正しいマスクのつけ方、知ってますか?

「で、結局マスクってウイルスには意味ないんじゃね?」
誰ですか、そんなヒネクレたこと言ってるのは。
一人ひとりがきちんとマスクをすることは、感染拡大を防ぐためにとっても重要なんですよ!
そこで、正しいマスクのつけ方を再確認。

①マスクをつける前に、しっかりと手洗いをする
②マスクを鼻の形に合わせ、隙間を防ぐ
③マスクを下まで伸ばし、顔にフィットさせる

…どうですか、簡単ですよね!
もっと詳しく知りたい方は、使い方動画も参考になります。
政府インターネットテレビ「正しいマスクの着け方」

あと、よくあるNG集も。皆さん、けっこうやっちゃってるんじゃないですか?

  • マスクをあごにかける
    ついやってしまいがち。あごに付着した飛散物がマスクの内側についてしまいます。
  • つけ外しの時に手でマスクを触る
    マスクに付着したウイルスが手を介して体内に入るリスクあり。つけ外しは耳ゴムを持って。
  • 鼻をマスクから出している
    鼻がしんどいのは分かりますが、鼻からも飛沫ウイルスは入ってくるので意味がない!

ちょっとしたルールに気を付けて、自分や身の回りの人を感染から守りましょうね♪