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空調のイラスト食品工場やクリーンルームなどの大空間で、空気中の異物を除去し異物落下を防ぐのに役立つ「ソックダクト」。本コラムでもその特徴や利点についてたびたび取り上げてきました。
一方で、ソックダクトは長く使い続けていると様々な汚れが蓄積していくため、定期的な保守やメンテナンスが避けられません。今回は当社のソックダクト「電石サニフィルター」の特徴を、汚れやメンテナンスの点から深く見ていきます。

ソックダクトとは

ソックダクト(sock duct)とは、特殊な布などで作られた細長い筒状の器具です。
工場や倉庫などで空調機の吹出口に設置して使うもので、空調機から発する冷気や暖気が内部を通り、部屋の隅々にまで空調された空気を届けられるようになっています。一般的な空調ダクトは金属製ですが、この素材が布などに変化したものとお考えください。
ソックダクト
※ソックダクトについて詳しくは過去のコラムをご覧ください。

ソックダクトとは?高機能で異物混入対策にもなる注目の空調設備

ソックダクトを導入する主なメリット

快適な室内空調

ソックダクトはそれ自体が通気性のある生地で出来ており、内部の空気がダクト全体から緩やかに放出する構造になっています。
そのため通常の換気ダクト(所々に吹出口が付いたもの)と比べて室内の温度ムラが少なく、また気流も優しいため不快感が少ないのがメリットです。

フィルター効果

ソックダクトは上述の構造から、内部の冷気や暖気を放出する際に、ダクトの生地がフィルターとなって空中の浮遊物や小さな異物を捕集する効果があります。空調機内部に設置されたフィルターと合わせて、二重の異物除去対策になるわけです。
このため食品工場やクリーンルームのような高い清浄度が求められる室内でソックダクトが採用されることも珍しくありません。

ソックダクトを使い続けるとどうなる?

このように便利なメリットが豊富なソックダクトですが、長期間使い続けていると、ちょっとした問題が発生します。
こちらの写真をご覧ください。
フィルター汚れ
これらは、当社サンロードのソックダクト「電石サニフィルター」の拡大写真です。左から、未使用時の状態、ある包装資材製造会社で6か月間連続使用した状態、食品加工工場で12ヶ月間連続使用した状態の写真になります。

なおフィルター表面がずいぶん汚れているように見えますが、これは表面に汚れが付着しているのではなく、フィルター内部に蓄積したほこりや塵が透けて見えているものです。不織布製の「電石サニフィルター」は生地が薄いため、このように外側から内部の汚れが分かります。
ソックダクトは絶えず空調機から出る空気を放出していますが、その空気の中に含まれている粉塵をしっかり捕集できている表れともいえるでしょう。

「電石サニフィルター」やその他のソックダクトに限らず、工場設備やオフィス用品は長く使い続けていればこうした汚れや劣化は避けられません。その用途や使用環境に応じた対策が必要です。

ソックダクトの汚れは捕集効果に影響する?

ソックダクトには、空調機から放出された空気の汚れをキャッチするフィルターの役割があるのは上述の通りですが、先ほどの写真のようにソックダクトに汚れが蓄積すると、このフィルター効果がなくなってしまうんじゃないか?と心配される方もあるのではないでしょうか。
結論から申しますと、「電石サニフィルター」に関しては、こうした汚れの捕集効果への影響は大きくありません。

「電石サニフィルター」の捕集効果は、2つの要素から生み出されています。
1つは、素材の帯電性によるものです。電石サニフィルターは「帯電不織布」と呼ばれる特殊素材「トレミクロン」で作られています。トレミクロンは繊維の一本一本が電石(電気を持ち続ける物質)となっており、生地の表面や内部に強い電界を形成します。これが空気中の細かい浮遊物を電気の力で引き寄せ、吸着させるという仕組みです。(図参照)

もう1つの要素は、素材の物理的なフィルター性能です。不織布は無数の細かい繊維を集積・結合して作られたもので、それ自体の中に多孔質構造を持っています。このため不織布を素材としたソックダクトに空気を通すと、空気中の一定の大きさ以上の粒子は生地を通過できず、こし取られる形になります。

話を戻しますと、フィルター表面の汚れが捕集効果に影響するのは、前者の「素材の帯電性」においてです。生地表面に汚れや異物が蓄積すると、表面電荷は減衰し、電気的な吸着力も落ちていきます。そのため微細な粒子(0.5ミクロン程度)のキャッチ力は落ちていきます。
一方、後者の「物理的なフィルター性能」は表面の汚れにあまり影響されません。そのため数ミクロン程度のより大きな粒子の捕集効果は維持されます。

工場大切なのは、「電石サニフィルター」を使用する室内にどの程度の清浄さが要求されるかです。
クリーンルームのように微細な塵やホコリへの対策が厳しく求められる空間なら、少しの汚れでも異物の吸着性能が落ちるのは問題であり、頻繁なメンテナンスが必要になります。逆に、ある程度のフィルター性能を維持できれば良いというケースでは、捕集性能に関してはさほど過敏になる必要はないでしょう。

ソックダクトが汚れた時の対応は?

ソックダクトの汚れと捕集効果の関係は上述の通りですが、もちろん汚れそのものによる見た目の悪影響も重大です。職場で働くスタッフや工場への来訪者に不潔な印象を与えてしまっては良くありませんので、目立ち始めたら、なるべく早急に手を打ちましょう。

汚れたソックダクトは、「交換」か「洗濯」を行う必要があります。どちらを選ぶかは製品によりますが、当社の「電石サニフィルター」は交換タイプです。対して、布製のソックダクトは基本的に洗濯タイプになります。

洗濯タイプは意外と「高くつく」

洗濯コスト洗濯タイプのソックダクトは、「何度でも洗って使える=コストパフォーマンスが良い」と思われがちですが、話はそう簡単ではありません。

まずソックダクトのような長尺の布製品は、家庭用洗濯機は洗えませんので、その都度クリーニング業者にお金を払って依頼することになります。また洗い替え用としてソックダクトの予備も必要です。コスパが良いはずの洗濯タイプのほうが、実は高くつくというケースも意外とあります。

その点、新しい製品を定期的に買い替える交換タイプは洗濯の手間やコストがかかりません。

「電石サニフィルター」でいつまでもクリーンな環境を

交換タイプの「電石サニフィルター」は、コストが抑えられるだけでなく、不織布製で軽量かつ扱いやすいので、布製品よりもメンテナンス作業が簡単です。
また交換時期が見た目に分かりやすいように工夫がしてあります(一部製品を除く)。フィルター表面の色が黒くなり、製品の先端部に円形の模様が現れたら「交換が必要」のサインです。
交換後、使い終わった古いフィルターは通常のゴミと同じように処分していただいてOKです。電石サニフィルターはポリプロピレン100%ですので、焼却時にダイオキシンは発生しません。

ソックダクトの定期的な交換でフレッシュな状態を保ち、クリーンな職場環境を作るのにお役立てください。
電石サニフィルター

まとめ

いかがでしたか?ソックダクトはずっと天井近くにあるものなので、日常的に掃除するというのが難しくなります。「気が付いたら、めっちゃ汚れてる…」とならないように、定期的に交換や洗濯を行うよう注意したいですね。不織布製の「電石サニフィルター」なら交換も設置もカンタンにできますよ!

電石サニフィルターについてもっと詳しく知りたいという方は、サンロードの公式サイトをご覧くださいませ。
https://www.sunroad-nara.co.jp/product/sanifilter/

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